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2020年4月

2020年4月29日 (水)

『Christopher Cross』 1979

AOR。懐かしい響きである。Audio-Oriented Rock(オーディオ・オリエンテッド・ロック)、Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)の略であり、音楽のジャンルの一つ。日本では、Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)と訳される。

AORの時代をリアルタイムで生きた男の一人として言いたい。AORを「軟弱ロック」と評する人は、もう一度、その頃の名盤を聴き直してみると良い。

米国で「Audio-Oriented Rock」と解釈された。こちらの解釈の方が、僕にとっては座りが良く、 「音を重視するロック(音志向ロック)」とは、ただ、がさつに主張するだけのパンクムーブメントとは違い、歪みのない楽器音と怒鳴らない、落ち着いた声が特徴の「成熟したロックの一形態」だったと僕は思っている。

『Christopher Cross(邦題:南から来た男)』(写真左)を聴いてみれば良い。丸くて柔らかい極上サウンド。天使のようなハイトーンボイスが特徴で、一躍AORを代表するアルバムとして一世を風靡した、AORの名盤である。

僕は当時、大学生だった。この『南から来た男』を初めて聴いたのは、僕は硬派なロック少年からの脱皮を図るべく、ジャズにアプローチをし始めた頃、1979年のことである。リアルタイムでこのアルバムを初めて聴いた時、かなり心を動かされた。とにかく美しい。演奏もボーカルの一流の響き。テクニックも素晴らしく歌心もある。
 
 
Christopher-cross  
 
 
一方、「こんなアルバムに騙されてはいけない」と強く思った。純ジャズの難解さに手を焼きながらも、その良さが何となく感覚で判り始めた頃である。ロックに戻ってはいけない、と思った。しかも、当時は「何て軟弱なロックなんだ」と微かに思ったのも事実。

が、「とにかく美しく、演奏もボーカルも一流の響きで、テクニックも素晴らしく歌心もある」というところが響いて、実に「困った」。夜な夜な聴きながら「こんな音楽に浸っちまってええのか」と後ろめたさを感じながらも、ヘビーローテーションになった。

純ジャズを聴き疲れた耳への「耳休めなんだ」という言い訳で、この『Christopher Cross(邦題:南から来た男)』は良く聴きました。良い音楽は良い音楽だから、素直に聴けば良いのにね。大学時代は、その若さ故、なにか「高邁な」理屈付けが必要で、今から思えば、自分のことながら「ウザい」時代だったなあ、と苦笑することしきりである(笑)。

ハイトーンボイスが心地良く、収録されたどの曲も、雰囲気があってとても優れていると思います。売れて当たり前のアルバムですね。

バック・コーラスを紐解くと、ニコレット・ラーソン、マイケル・マクドナルド、ヴァレリー・カーター、ドン・ヘンリー、JDサウザーが参加。ギター・ソロでは、ラリー・カールトン、ジェイ・グレイドンなどが参加する、マニアックな楽しみも満載で、初心者からマニアまで、「気軽に楽しむ」〜「ディープに楽しむ」まで、楽しみ方も様々なバリエーションを誇る、奇跡の様な名盤です。

このハイトーンボイスって、どんな人が歌っているのか、興味津々でしたが、クリストファー・クロスが素顔を初めて世間にさらした時、その顔写真(写真右)を見て、至極納得したというか、改めて、クリストファー・クロスに親近感を持ったというか、改めて、クリストファー・クロスのファンになりました。味のある、渋いキャラクターのミュージシャンだと思います。
 
 
 
東日本大震災から9年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2020年4月18日 (土)

Boz Scaggs『Down Two Then Left』 1977

僕達が学生時代、リアルタイムで聴いたAOR。その中核を担うロック出身のミュージシャンの一人が「ボズ・スギャッグス(Boz Scaggs)。そのボズが1970年後半から1980年にかけてリリースしたAORな盤、「Slow Dancer」「Silk Degrees」「Down Two Then Left」「Middle Man」については、僕は密かにボズのAOR4部作と名付けている。

Boz Scaggs『Down Two Then Left』(写真左)。1977年11月のリリース。ボズのAOR4部作の第3弾。ファンキー&メロウがメインのAOR盤。アーバンテイストなアレンジがなかなか「粋」に響きます。

ソウル・テイストを強化すべき、キーボード&作曲において、当時頭角を現し出したマイケル・オマーティアンにイニシアティヴを預け、リズム隊もオマーティアン自身のユニット、リズムヘリテッジの面々が中心に請負い、明らかに前作よりロック色が交代し、代わりにファンキー&メロウさが増しています。

この「ファンキー&メロウなAOR」というのが、ボズ・スギャッグスのAORの個性で、ここにロック色をしっかりクロスオーバーさせていて、あくまで「ロック」な音作りに軸足を残しているところが、僕達の好みと合致するところで、学生時代、このボズのAOR4部作は、かなりの「ヘビロテ」な盤として鳴り響いていました。
 
 
Down-two-then-left  
 
 
バックの演奏のアレンジは、ファンキー&メロウな面を強化した故に、ライトなフュージョン・テイストがしっかり漂っていて、フュージョン・ジャズの延長線上、ポップでソフト&メロウなフュージョン・ミュージックとして楽しむことが出来ました。

バックの面々は、それはそれは「AORの強者ども」の饗宴といったもので、これだけの面子がやったら、そりゃぁ良いAORなアルバムが出来るでしょうよ、と呆れてしまいます(笑)。特に、ギター(Steve Lukather、Jay Graydon、Ray Palker Jr.)、ベース(David Hungate)、ドラムス(Jeff Pocaro)という「お馴染のメンバー」で、ボズの基本的な音作りをガッチリとサポートしています。

思えば、1974年リリースの『Slow Dancer』から始まったボズのAOR化でしたが、この3作目『Down Two Then Left』で、ほぼ完成したと言えるでしょう。

惜しむらくは意味不明なジャケットデザインと若干のセールスの不振(それでもビルボード最高位11位なんですけどね)で4部作の中で影のちょっと薄い盤なんですが、意外と良い内容ですよ。この盤もやはりAORの好盤の一枚でしょう。
 
 
 
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Boz Scaggs『Silk Degrees』 1976

僕が密かに「AORの伊達男」と呼んでいる男がいる。その男の名前を言う前に、AORとはなんぞや、という問いに答えておく。日本で「AOR」とは、「Adult Oriented Rock (大人が心を向けたロック)」の略と解釈される。「大人向けのロック」という感じかな。1970年代中盤から1980年代にかけて流行しました。

さて、AORの「伊達男」とは、ボズ・スキャッグス(Boz Scaggs・写真右)のこと。ボズ・スキャッグスは、オハイオ州出身の米国ミュージシャン。AORサウンドを代表するシンガー。R&B色が濃い泥臭い音楽を中心に、サンフランシスコを拠点に活動していたが、ちっとも売れなかった。しかし、1976年、突如、大幅なイメージ・チェンジを断行、ソフィスティケートされたアルバムを出して、一躍、AORの代表格になった。

Boz Scaggs『Silk Degrees』(写真左)。1976年の作品。AORの代表的名盤の1枚。パーソナルは当時の腕利き、名うてのスタジオ・ミュージシャンが起用されている。目立ったところでは、後に「Toto」を結成する、David Paich (key), David Hungate (b), Jeff Porcaro (ds) が参加している。

これぞAORという雰囲気のアレンジが素晴らしい。ブラスの使い方、女性コーラスの使い方、弦の使い方、エレピの使い方、どれもが、後のAORアルバムに応用され尽くした数々の「定番アレンジ」がてんこ盛り。良いステレオ装置で、じっくりと聴き返すと、ほんと良くできたアレンジに感じ入ってしまう。
  
 
Silk_degrees
 
 
ボズ・スキャッグスの声は太く丸くて、少しくぐもっていてソフトな声。この声を活かすには、ポップでソフィストケートされた雰囲気が必要。そのソフィストケートされた雰囲気を出すのにはどうしたらいいか。ロック・ファンのみならず、一般の人々にアピールするにはどうしたらいいか。FMで取り上げられてバンバン、オンエアされるにはどうしたらいいか。を考え抜いて考え抜いて、このアルバムにある「秀逸なアレンジ」が生まれたんだろう、と思う。

この『Silk Degrees』、ブラスと弦、女性コーラスを大々的に前面に押し出したおかげで、ロックのアルバムというよりは、ちょっと硬派なアメリカン・ポップ的な雰囲気になってしまって、ロック・ファンからすると、ソフト&メロウな世界へ行き過ぎた感じは否めない。しかし、それがかえって、ロック・ファンというマニアックな世界から飛び出して、一般の人々にも十分にアピールし、当時としては爆発的に売れた。AORの初期の代表的なアルバムになり、ボズ・スキャッグスの代表盤となった。

LPのB面のラストに収録された「We're All Alone(二人だけ)」という曲は、実に良い曲である。この曲を初めて聴いた時、良い曲だなあ、と感じ入ったのを覚えている。しかしながら、曲としてはとても良く出来ているんだが、この曲だけはアレンジがいただけない。弦が、あからさまに出過ぎていて、どうしても、なんだかチープな感じがしてならない。弦を入れたら良いってもんじゃない。

とはいえ、この『Silk Degrees』、AORの代表的名盤の一枚という事実には変わりが無い。Billboard Hot 100で3位、R&Bチャートとディスコ・チャートで5位に達し、同曲はグラミー賞において最優秀R&B楽曲賞を受賞。実績も申し分無し。今の耳にも十分に鑑賞に耐えるソフト・ロックの好盤です。 
 
 
 
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