Christopher Cross

2020年5月11日 (月)

Christopher Cross『Another Page』 1983

1979年、突如としてヒットチャートに躍り出た『Christopher Cross(南から来た男)』。まずもって、クリストファー・クロスとは何者か? で、当時、僕達は大混乱した。しかも、覆面ミュージシャンとしての登場。更に僕達は混乱した。

トレンディーなメンバーの強力バックアップによる「ソフト&メロウ」なサウンドは、70年代後半から80年代前半にかけて一世を風靡したAORサウンドの極致と言って良いものでした。良質な「大人のロック」的な演奏が素晴らしかったですね。反面、これはクリストファー・クロスは大変だぞ、って思いました。このアルバムを越える次作の創作は並大抵では無い。

さすがに、セカンド・アルバムの登場まで3年の月日が必要でした。1983年に満を持してリリースされたクリストファー・クロスの第2作『Another Page』(写真左)。フラミンゴのアップが凛々しいジャケットと共に、クリストファー・クロスは還ってきた。

これがまあ、良い内容なんですよね。リリース当時、早い時期に手に入れましたが、このアルバムを聴いた時、ちょっとした感動を覚えました。あのAORサウンドの極致と言って良いファースト・アルバムの内容を凌駕している部分がそこかしこに聴くことが出来る。素晴らしい才能だなあ、って大いに感心したのを昨日の事の様に覚えています。
 
 
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このセカンド・アルバムでも、多くの名うてのミュージシャン達がバック・アップしています。まずは、TOTOのスティーブ・ルカサー。流れる様な印象的なフレーズのギター・ソロがそこかしこにフューチャーされています。加えて、TOTOからジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロ等も参加しています。なんだかTOTO御用達って感じ(笑)。

このアルバムでは米国西海岸ロックのメンツが多く参加しています。ドン・ヘンリー、マイケル・マクドナルド、J.D.サウザー、ジェイ・グレイドンなどの名前がクレジットされています。3曲目の「What Am I Suppose To Believe」では、西海岸ロックの歌姫、カーラ・ボノフとのデュエットを聴かせてくれます。これがまた良い。カーラの声が良い。一聴してカーラだと直ぐ判る。

米国西海岸ロックの面々の参加の影響もあるのか、このセカンド・アルバムはには、爽快感、疾走感が感じられる、健康的なAORといった雰囲気が実にグッドです。AORと言えば、アーバンな雰囲気漂う大人のロック、って感じが定番かと思いますが、このクリストファー・クロスのセカンド・アルバムはちょっと違う。でもこの爽やかな太陽の光を感じる健康的な雰囲気、僕は好きです。

アルバム全体の音作りは、メリハリが効いて、音のエッジが立ち気味の、デジタル録音が主流となった1980年代を感じさせるもの。でも、リズム・セクションは、まだまだ人間的な雰囲気が強く漂っていて、聴いていて実に味がある。やはり、何時の時代もリズム・セクションは人間が担うべきだ。
 
 
 
東日本大震災から9年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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2020年4月29日 (水)

『Christopher Cross』 1979

AOR。懐かしい響きである。Audio-Oriented Rock(オーディオ・オリエンテッド・ロック)、Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)の略であり、音楽のジャンルの一つ。日本では、Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)と訳される。

AORの時代をリアルタイムで生きた男の一人として言いたい。AORを「軟弱ロック」と評する人は、もう一度、その頃の名盤を聴き直してみると良い。

米国で「Audio-Oriented Rock」と解釈された。こちらの解釈の方が、僕にとっては座りが良く、 「音を重視するロック(音志向ロック)」とは、ただ、がさつに主張するだけのパンクムーブメントとは違い、歪みのない楽器音と怒鳴らない、落ち着いた声が特徴の「成熟したロックの一形態」だったと僕は思っている。

『Christopher Cross(邦題:南から来た男)』(写真左)を聴いてみれば良い。丸くて柔らかい極上サウンド。天使のようなハイトーンボイスが特徴で、一躍AORを代表するアルバムとして一世を風靡した、AORの名盤である。

僕は当時、大学生だった。この『南から来た男』を初めて聴いたのは、僕は硬派なロック少年からの脱皮を図るべく、ジャズにアプローチをし始めた頃、1979年のことである。リアルタイムでこのアルバムを初めて聴いた時、かなり心を動かされた。とにかく美しい。演奏もボーカルの一流の響き。テクニックも素晴らしく歌心もある。
 
 
Christopher-cross  
 
 
一方、「こんなアルバムに騙されてはいけない」と強く思った。純ジャズの難解さに手を焼きながらも、その良さが何となく感覚で判り始めた頃である。ロックに戻ってはいけない、と思った。しかも、当時は「何て軟弱なロックなんだ」と微かに思ったのも事実。

が、「とにかく美しく、演奏もボーカルも一流の響きで、テクニックも素晴らしく歌心もある」というところが響いて、実に「困った」。夜な夜な聴きながら「こんな音楽に浸っちまってええのか」と後ろめたさを感じながらも、ヘビーローテーションになった。

純ジャズを聴き疲れた耳への「耳休めなんだ」という言い訳で、この『Christopher Cross(邦題:南から来た男)』は良く聴きました。良い音楽は良い音楽だから、素直に聴けば良いのにね。大学時代は、その若さ故、なにか「高邁な」理屈付けが必要で、今から思えば、自分のことながら「ウザい」時代だったなあ、と苦笑することしきりである(笑)。

ハイトーンボイスが心地良く、収録されたどの曲も、雰囲気があってとても優れていると思います。売れて当たり前のアルバムですね。

バック・コーラスを紐解くと、ニコレット・ラーソン、マイケル・マクドナルド、ヴァレリー・カーター、ドン・ヘンリー、JDサウザーが参加。ギター・ソロでは、ラリー・カールトン、ジェイ・グレイドンなどが参加する、マニアックな楽しみも満載で、初心者からマニアまで、「気軽に楽しむ」〜「ディープに楽しむ」まで、楽しみ方も様々なバリエーションを誇る、奇跡の様な名盤です。

このハイトーンボイスって、どんな人が歌っているのか、興味津々でしたが、クリストファー・クロスが素顔を初めて世間にさらした時、その顔写真(写真右)を見て、至極納得したというか、改めて、クリストファー・クロスに親近感を持ったというか、改めて、クリストファー・クロスのファンになりました。味のある、渋いキャラクターのミュージシャンだと思います。
 
 
 
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