Christopher Cross『Another Page』 1983
1979年、突如としてヒットチャートに躍り出た『Christopher Cross(南から来た男)』。まずもって、クリストファー・クロスとは何者か? で、当時、僕達は大混乱した。しかも、覆面ミュージシャンとしての登場。更に僕達は混乱した。
トレンディーなメンバーの強力バックアップによる「ソフト&メロウ」なサウンドは、70年代後半から80年代前半にかけて一世を風靡したAORサウンドの極致と言って良いものでした。良質な「大人のロック」的な演奏が素晴らしかったですね。反面、これはクリストファー・クロスは大変だぞ、って思いました。このアルバムを越える次作の創作は並大抵では無い。
さすがに、セカンド・アルバムの登場まで3年の月日が必要でした。1983年に満を持してリリースされたクリストファー・クロスの第2作『Another Page』(写真左)。フラミンゴのアップが凛々しいジャケットと共に、クリストファー・クロスは還ってきた。
これがまあ、良い内容なんですよね。リリース当時、早い時期に手に入れましたが、このアルバムを聴いた時、ちょっとした感動を覚えました。あのAORサウンドの極致と言って良いファースト・アルバムの内容を凌駕している部分がそこかしこに聴くことが出来る。素晴らしい才能だなあ、って大いに感心したのを昨日の事の様に覚えています。
このセカンド・アルバムでも、多くの名うてのミュージシャン達がバック・アップしています。まずは、TOTOのスティーブ・ルカサー。流れる様な印象的なフレーズのギター・ソロがそこかしこにフューチャーされています。加えて、TOTOからジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロ等も参加しています。なんだかTOTO御用達って感じ(笑)。
このアルバムでは米国西海岸ロックのメンツが多く参加しています。ドン・ヘンリー、マイケル・マクドナルド、J.D.サウザー、ジェイ・グレイドンなどの名前がクレジットされています。3曲目の「What Am I Suppose To Believe」では、西海岸ロックの歌姫、カーラ・ボノフとのデュエットを聴かせてくれます。これがまた良い。カーラの声が良い。一聴してカーラだと直ぐ判る。
米国西海岸ロックの面々の参加の影響もあるのか、このセカンド・アルバムはには、爽快感、疾走感が感じられる、健康的なAORといった雰囲気が実にグッドです。AORと言えば、アーバンな雰囲気漂う大人のロック、って感じが定番かと思いますが、このクリストファー・クロスのセカンド・アルバムはちょっと違う。でもこの爽やかな太陽の光を感じる健康的な雰囲気、僕は好きです。
アルバム全体の音作りは、メリハリが効いて、音のエッジが立ち気味の、デジタル録音が主流となった1980年代を感じさせるもの。でも、リズム・セクションは、まだまだ人間的な雰囲気が強く漂っていて、聴いていて実に味がある。やはり、何時の時代もリズム・セクションは人間が担うべきだ。
東日本大震災から9年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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