Archie Shepp『Ballads For Trane』
「ジャズ喫茶で流したい」シリーズの10回目。懐かしのDENONレーベルでの作品。
1970年代、日本国内レーベルDENONは素晴らしい仕事をしていました。カタログにあるアルバムは、ジャズとしてどれも良い出来でした。
そんなDENONレーベルの中の、Archie Shepp(アーチー・シェップ)『Ballads For Trane』(写真左)。1977年5月の録音。パーソネルは、Archie Shepp (ts, ss), Albert Dailey (p), Reggie Workman (b), Charlie Persip (d)。なんと渋いメンバーなのか。
ジョン・コルトレーンの直系といわれる、テナー奏者、アーチー・シェップが、コルトレーンゆかりのバラード・ナンバーだけを集中して取り上げたアルバムです。
コルトレーン亡き後、フリー・ジャズの旗手として認識されていたアーチー・シェップでしたが、どうしてどうして、正統なメインストリーム・
ジャズを演奏させてみれば、あ〜ら不思議、テクニック、歌心を共に持ち合わせた、正統派テナー・マンに早変わり。
収録されているバラード曲は以下の通り。
1. Soul Eyes, 2. You Don't Know What Love Is, 3. Wise One, 4. Where Are You?, 5. Darn That Dream, 6. Theme For Ernie
う〜ん、良い選曲だ。これらコルトレーンゆかりのバラード曲を、時には旋律を噛みしめるようにむせび泣き、時には感極まった雰囲気でエモーシャルに吠え叫び、時には喜びの表情で明るく伸びやかに、縦横無尽にテナーを吹きまくる。
このバラードに特化した演奏を聴くと、とにかく、アーチー・シェップのテナーは上手いということを再認識する。とにかく上手い。コルトレーンが着目していた若手テナーマンだということを実感する。とにかく、聴いていてリラックスできる。聴いていて感動する。細かい説明は意味をなさない。久しぶりにこ
の一言、「聴けば判る」。
パーソネルの選定、コルトレーンゆかりのバラード・ナンバーだけを固めた選曲など、ジャズ先進国、日本ならでは企画である。実に良いアルバムを残してくれたものだ。DENONレーベルに感謝したい。
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