Cedar Walton『Cedar!』
Cedar Walton(シダー・ウォルトン) というピアニストのキャリアはかなり長い。Art Blakey & Jazz
Messengers
にも参加していたんだが、あまり大衆受けはせず、どちらかと言えば「玄人好み」。
以前、村上春樹さんが、著書「意味がなければスイングはない」で、シダー・ウォルトンをとりあげているのを読んで、ちょっとビックリしたのを覚えている。
1934年1月生まれ。1955年頃にニューヨークに進出。1960年代の初め、ピアニスト、アレンジャーとして、Art Blakey & Jazz Messengersに籍を置き、Freddie Hubbard (tp), Curtis Fuller (tb), Wayne Shorter (ts), Reggie Workman (b) と活動をともにした。1964年、Jazz Messengersを脱退後はフリーで様々なミュージシャンとアルバムを残している。
どちらかといえば派手さは無く、じっくり聴かせるピアニストである。ピアノの音の芯が崩れない、というか、音の強弱、音の緩急によって音が崩れること無く、クッキリしているのが特徴かな。テクニックは優秀。作曲家としての才も大いにある。
そんななぜかマイナーな位置に甘んじているシダー・ウォルトンの「お気に入り」盤の一枚が、1967年リリースの『Cedar!』(写真左)。パー
ソネルは、Junior Cook (ts), Kenny Dorham (tp), Billy Higgins (ds), Leroy
Vinnegar (b), Cedar Walton (p)。
フロントのジュニア・クックとケニー・ドーハムの参加が目を惹くが、どちらもあまりパッとしないんですよね、これが。で、何故このアルバムが「お気に入り」盤かというと、当然、シダー・ウォルトンのピアノが素晴らしいからです(笑)。
収録曲は「Turquoise Twice」「Twilight Waltz」「Short Stuff」「Head and Shoulders」の4曲は、シダー・ウォルトンのオリジナル。「My ship」「Come Sunday」「Take The A Train」(CD追加曲)の3曲はスタンダード。ウォルトンのオリジナル曲は、モーダルな雰囲気が魅力的で、なかなか配慮が行き渡っており、作曲家としての魅力も満喫できます。
なかでも、3曲目の「My
Ship」は、フロント抜きのピアノ・トリオ編成での演奏で、ウォルトンのピアノが、心ゆくまで堪能できます。続く4曲目の「Short
Stuff」は、軽妙でクッキリとしたタッチが聴き所の楽しい曲で、聴き応え十分です。この2曲がハイライトでしょうか。
決して、フロントの2人(クックとドーハム)に期待して、聴いてはいけないアルバムではあります。でも、そんなに酷くないんですけどね〜。絶好調の時の2人の演奏を知っているだけに「何、はっきりせんと、ぼんやり吹いてるの?」って感じなんですね。でも、その2人のフロントを減じて余りある、Billy
Higgins (ds), Leroy Vinnegar (b), Cedar Walton (p)
の3人。振り返れば、このトリオ編成だけで録音すれば良かったのに、とも思いますね。
なかなか話題に上がらないアルバムですが、シダー・ウォルトンを愛でるには絶好のアルバムだと思います。ジャズ喫茶で流したいアルバムでもあります。はっきりせんと、ぼんやり吹いているフロントの2人に幻惑されて、誰のアルバムなのか、いつの時代のアルバムなのか良く判らなくなる、ジャズ者にとっては、面倒なアルバムです(笑)。
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