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2020年3月15日 (日)

チューリップ『魔法の黄色い靴』

久し振りに「チューリップ」のアルバムを聴き直したくなった。なにを隠そう、松和のマスターこと私は「チューリップ」のマニアである。1973年の大ヒット「心の旅」を耳にして以来、チューリップはずっと好きなバンドのひとつ。特に、高校時代から大学時代にかけては、密かにチューリップ者として、アルバムを買い続け、聴き続けた。

しかし、僕の周りには、チューリップ者はいなかった。「心の旅」のヒットくらいしか認知度が無く、よってアルバムを愛で、アルバムの魅力を語る友人は皆無。後に「サボテンの花」がドラマのタイアップ曲(1993年「ひとつ屋根の下」の主題歌)として、リバイバル・ヒットした時は、大いに溜飲が下がった思いがしたものだ。

チューリップ『魔法の黄色い靴』(写真左)。1972年のリリース。そんなチューリップのデビューアルバム。ちなみにメンバーは、
財津和夫 (g, key, vo), 姫野達也 (g, key, vo), 吉田彰 (b, vo), 上田雅利 (ds, vo) の4人組。メンバーに加えて弦・管楽器編曲に青木望、木田高介が参加。

当時、フォーク・ロック・バンドのデビュー・アルバムとしては、なかなかに金のかかった代物で、ダブル・ジャケット仕様に、ポスターなどが同梱されており、当時のレコード会社の期待度の高さが窺い知れる。確かに、このデビュー・アルバム、チューリップの個性がぎっしり詰まった、当時のJポップ・シーンには無かった、斬新でハイレベルなフォーク・ロックなアルバムであった。

兎にも角にも、タイトル曲であり、デビュー・シングルでもあった「魔法の黄色い靴」が素晴らしい。この曲をFMで耳にしたのは1974年。荒井由実のポップな曲が流れ始めている中で、この「魔法の黄色い靴」も流れていた。聴いたことが無いコード進行、それまでのフォーク・ソングには無い歌い方、新しい響きを湛えたコーラス。今の耳で聴いても、この曲は斬新。フォーク・ロックの名曲である。
 

Yellow-magical-shoes

 
そして、2曲目の「あいつが去った日」より「千鳥橋渋滞」「ハーモニー」「おいらの気楽な商売」「私の小さな人生」と、LP時代のA面を飾る、素晴らしいフォーク・ロックの名演がズラリと並ぶ。どの曲も、当時のJポップ・シーンには無かった、洒落ていて、ポップ度の高い曲で、1970年代前半のフォーク・ソング全盛時代においては、ちょっと浮いた存在だった。でも、この洒落たところが良い、ポップ度の高いことろが新しかった。

まだ、1970年代前半は、録音の機材や録音方法も発展途上の時代、アレンジなどもまだまだテクニック不足で、演奏全体の雰囲気は地味で洗練されておらず、完成度は中の上程度なのですが、それをカバーして余りある曲のユニークさと斬新さが素晴らしい。

これらの曲を今の録音環境とアレンジのテクニックで、完全リメイクして欲しいですね。曲それぞれの内容が良いので、その出来はかなり期待できるのでは無いかと思います。

LPのB面の「もう笑わなくっちゃ」「言葉が出ない」「思えば遠くへきたものだ」「どうして僕は淋しいんだ」「風」の流れも、チューリップ・マニアには堪えられない内容なんですが、A面に比べると、ちょっと「力尽きた」感はあるかな。アレンジにやっつけ感があって、演奏自体も荒さが目立ちます。実に惜しい。曲自体は良いんですよ。

でも、ラストの「大魔法の黄色い靴」は聴く度に感心する。このアルバムのタイトル曲「魔法の黄色い靴」にオーケストラのアレンジを施して、チューリップのメンバー、そして、スタッフも交えての「大合唱曲」としてリプライズしているんだが、これが素晴らしい出来。これだけ、ストリングスのアレンジに耐える楽曲はなかなか無い。やっぱりこの「魔法の黄色い靴」は名曲なんだと痛く感心したのを昨日のことの様に覚えている。

一般万民にお勧めする内容のアルバムでは無いんですが、Jポップ、フォーク・ロックのマニアの方には一度聴いて頂きたいアルバムではあります。勿論、チューリップ・マニアの方々にはマスト・アイテムでしょう。デビュー・アルバムだから、出来はイマイチなのではと懸念しているのであれば、全く心配はいりません。チューリップのメンバーの個性がキラキラ煌めいていて、かなり楽しめる内容です。

 
 
 
東日本大震災から9年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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