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2020年3月 1日 (日)

荒井由実『MISSLIM (ミスリム)』

僕が初めて荒井由実に出会った曲が「12月の雨」。高校1年生の秋、11月頃だと思う。NHK-FMを聴いていて、あの印象的なピアノの「ダダダダダダ」という、和音の連打で始まる前奏に、聴く耳を持って行かれ、転調する不思議なフレーズを持つサビに驚き、「時はいつの日にも親切な友達、過ぎていく昨日を物語に変える」の歌詞に感じ入った。そして、思う「これはなんだ」。それが荒井由実だった。

『MISSLIM』(写真左)は、荒井由実のセカンド・アルバム。1974年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、荒井由実 (vo,p), 松任谷正隆 (key), 林立夫 (ds,per), 細野晴臣 (b), 鈴木茂 (el-g), 斉藤ノブオ (per)、辺りが中心メンバー。山下達郎がコーラスアレンジを担当している。このセカンド・アルバムの中に「12月の雨」は含まれている。

この『MISSLIM』の、LP時代のA面を占める5曲が絶品である。「生まれた街で」「瞳を閉じて」「やさしさに包まれたなら」「海を見ていた午後」「12月の雨」。特に歌詞の世界が絶品である。「生まれた街で」の「街角に立ち止まり風を見送った時、季節がわかったよ」の一節には聴く度に痺れる。「瞳を閉じて」の「風がやんだら沖まで船を出そう、手紙を入れたガラスびんをもって」の出だしはまるで小説の出だしのようだ。
 
 
Misslim  
 
 
続く「やさしさに包まれたなら」の「カーテンを開いて、静かな木洩れ陽のやさしさに包まれたなら、きっと、目にうつる全てのことはメッセージ」の一節については、これは絶対に書けないなあ、と脱帽。「海を見ていた午後」は「山手のドルフィンは静かなレストラン、晴れた午後には遠く三浦岬も見える」は写実主義の絵画を見るようだ。そして、A面のラスト「12月の雨」の歌詞は全てが良いが、先に書いた「時はいつの日にも親切な友達、過ぎてゆく昨日を物語にかえる」のフレーズには、もう「参りました」である。

そして、このアルバムの全ての楽曲において言えることは、アレンジが秀逸なこと。特にキーボードとベースの使い方が抜群。素晴らしくセンスが良い。キーボードは松任谷正隆、ベースは細野晴臣。パーソネルを見て納得。このアルバムのアレンジはヘッド・アレンジが中心だったのことだが、ひらめきとセンスが素晴らしい。

この『MISSLIM』のLP時代のB面、CDでいう6曲目以降は、その歌の世界がちょっと歌謡曲に寄っている感じがして、LP時代はあまり聴かなかった。が、聴き耳を立ててみると、これがなかなか良い。恐らくはアレンジが良いのだろう。今ではCDであることもあって、冒頭の「生まれた街で」から、ラストの「旅立つ秋」まで一気に聴き通してしまう。

唐突ではあるが、1970年代Jポップの中で「早春」の季節に合うアルバムは、と問われれば、僕は、荒井由実『MISSLIM(ミスリム)』を挙げる。僕にとって、この『MISSLIM』は高校時代からずっと「早春」のアルバムなのだ。
 
 
 
東日本大震災から8年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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