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2020年10月の記事

2020年10月 8日 (木)

僕達はタツローの源へ遡った

1979年の夏、「山下達郎」を発見した僕達は、山下達郎の『GO AHEAD!』を流しまくった。そして、山下達郎の「源」へと遡った。ミュージシャンの「源」と言えば「ファースト・アルバム」。「ファースト・アルバム」にこそ、そのミュージシャンの個性の原石があり、音楽的指向の源がある。

ということで、僕達は、山下達郎の「源」へと走った。山下達郎のファースト・アルバムと言えば『CIRCUS TOWN(サーカス・タウン)』(写真左)。1976年12月リリース。シュガーベイブを解散して、ソロ活動を開始した「タツロー」のファースト・アルバムである。

このアルバムは今の耳で聴けば、とても面白い構成をしている。LPでいうA面の収録曲とB面の収録曲で演奏の雰囲気がガラッと変わる。A面は当時の米国の先端を行くアレンジを採用しているのにも拘わらず、演奏自体のクオリティに最先端では無い「緩さ」というか、シャープさが足らない感じが漂う。

逆に、B面のアレンジは、A面に比べれば平易ではあるが、演奏自体の「活き」を比べれば、僕はB面に軍配が上がると感じている。言い換えると、B面は日本人らしいポップ・ロック風の演奏であり、A面は米国人らしいポップ・ロックの演奏だと感じている。

確かに、LP時代のA面とB面でアレンジと演奏は異なる。A面はニューヨークでの録音。ローラ・ニーロの『イーライと13番目の懺悔』のアレンジなどで知られるチャールズ・カレロにプロデュース&アレンジを託している。B面はロサンゼルスでの録音。サイター兄弟と山下自身によるアレンジで録音されている。ちなみにLP時代は、A面は「NEW YORK SIDE」、B面は「LOS ANGELES SIDE」と表記されている。
 
 
Circus_town_2
  
  
アルバム全体の音は、完全に山下達郎の音世界。ファースト・アルバムにして、山下達郎の個性が確立されているのにはビックリした。山下達郎の以降の活動は、このファースト・アルバムの音世界の個性を、如何に洗練し、如何に昇華し、如何に普遍的なものにしていくか、に殆どの時間が費やされた、と感じている。

しかし、このアルバムにまつわるエピソードを調べてみると、いろいろと問題があったみたいで、特に、バック・ミュージシャンの起用、曲のアレンジメント&プロデュースについては多くの課題があったようだ。確かに、アレンジについては、特にA面は良い感じなんだが、演奏がそれに追いついていない。B面は演奏レベルはA面と同等だが、アレンジが平易な分、演奏レベルのあらが目立たない。

総合的にまとめてみると、山下達郎の音の個性は確立されてはいるものの、様々な課題・問題点は山積しており、それが故に、このアルバムはあんまり売れなかった。マニアとして聴けば面白いアルバムなんだが、通常の音楽好きのリスナーからすれば、とっつき難いというか、とっかりが掴めないというか、ちょっと判り難いアルバムなのだ。

一般万民に「売れる」アルバムでは無いことは確かな内容ではある。しかし、この一般万民に「売れる」アルバムを作るコツを会得するのに、タツローはこのデビュー盤からライブ盤を含めて、合計4枚のアルバムを費やすことになる。ミュージシャン自身のセンスと趣味が最高であっても、「売れる」アルバムを作るコツを会得するには時間がかかるんやなあ、と変に納得してしまう、このアルバムの内容である。

でも、このアルバムのアメリカンな雰囲気が僕はお気に入りで、このファースト盤に出会って以来、35年に渡って、付かず離れずで聴き続けている。日本人のポップ・ロックとは評価し難いが、日本人が日本人ならではのポップ・ロックにチャレンジしたアルバムとしては十分に評価出来る内容ではある。
 
 
 
東日本大震災から9年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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