2019年9月 7日 (土)

EL&Pのファースト盤である。

Emerson,Lake & Palmer(以下ELPと略)。エマーソン・レイク&パーマー。1970年代ロックの、僕の最初のお気に入りである。高校に入って、部活(映画研究部)の先輩諸氏から、プログレッシヴ・ロックの洗礼を受けて、お気に入りになった初めてのバンドである。

当時は、まず、お気に入りの切っ掛けとなったライブ盤『展覧会の絵』や、当時の最新作だった『恐怖の頭脳改革』、そして、セカンド盤の『タルカス』がヘビー・ローテーションで、その他の2枚、デビュー作の『Emerson,Lake & Palmer』と4枚目の『Trilogy』は蚊帳の外だった。どちらも、高校生の若き感性には、デビュー作と4枚目の「重要性」を認識することは出来なかった。まだ、ロックを聴き始めて1年程度の「青い感性」には、ELPの「真の個性」については、まだまだ感じ取る事が出来なかった。

しかし、何時の頃からか、デビュー作の良さが、その内容が理解出来る様になってきた。ELPの個性はこのデビュー作の『Emerson,Lake & Palmer』に全てが詰まっている、と言い切っても過言では無い。なにより、ELPにとっては、このデビュー作の『Emerson,Lake & Palmer』が原点であり、実はこれが全てであった、ということが良く判る様になった。

改めて『Emerson,Lake & Palmer』(写真左)。1970年のリリース。栄えあるELPのデビュー作。ちなみにパーソネルは、Keith Emerson (key, syn), Greg Lake (b), Carl Palmer (ds)。このデビュー作がリリースされた当時、ブリティッシュ・ロックの中で一世を風靡していたのが「クリーム」。クラプトン、ブルース、ベイカーのギター・トリオで、その3人のインプロビゼーションは高く評価されていた。そんなところに、ギターをキーボードに代えて、キーボードを中心としたトリオ編成として、世に問うたのがELPである。

何より先に、このメンバー3人のテクニックがずば抜けている。特にオルガンの取り扱いに卓越したテクニックを駆使し、オルガンとは思えない分厚い音を供給するキース・エマーソン。とにかく図太い重心の低い、超弩級な重低音ベースを、これまたハイテクニックに弾き倒すグレッグ・レイク。超弩級な分厚い音の塊を一身に受けて、力の続く限りビート&リズムを供給しつづける、体力勝負ドラミングのカール・パーマ−。
 
 
Elp-1st
 
 
この3人のテクニックがピッタリと合体し、3人の持つ豊かな音楽性が成果として結実したアルバムが、デビュー作の『Emerson,Lake & Palmer』である。当時の「カンタベリー・ミュージック」を核とした、当時のプログレッシブ・ロックのミュージシャン達の卓越したテクニックがどれほどのものであったのかが窺い知れる。

とにかく、ELPの音は分厚い。3人で演奏している音とは思えない「厚み」がある。当然、同時に「ヘビーさ」も兼ね備えており、演奏の迫力は圧倒的である。加えて、クラシックから米国ルーツ・ミュージックや前衛音楽まで、様々な音楽のエッセンスを取り入れる、音楽性の豊かさ、懐の深さは卓越している。このデビュー作に収録されている曲のひとつひとつに、様々なジャンルの音楽性が反映されており、これは実に「アカデミック」であり「理知的」。

ELPは、このグループの個性の全てを、このデビュー作に詰め込んで、次作『タルカス』より、商業ロックの世界へと突入していった。派手でメリハリが効いて、キャッチャーでないと当時の若い感性にアピールしない。そんな「セールス側の要請」を受けて、ELPは派手でメリハリの効いた「プログレッシブ・ロック」の代表格として、派手派手なパフォーマンスに身を染めていくのだ。

しかし、ELPの本質は、このデビュー作にしっかりと記録されている。今では、僕はこのデビュー作が大好きだ。ラストのフォーキーで解放感が爽やかな曲「ラッキー・マン」が象徴的。エンディングでキースの弾く、ムーグ・シンセサイザー独特のアナログな太い響きが、ファンファーレの様に「希望の明日」を感じさせてくれるのだ。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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2019年9月 1日 (日)

懐かしのEL&P『展覧会の絵』

僕の音楽に対する志向は、中学時代まではクラシック中心、ラジオで米国ポップスを密かに楽しむ位だった。ロックなんてほとんど知らないし、ロックを聴いていたら、周りから「不良」のレッテルを貼られた時代である。今から40年以上前、高校1年の夏、映画研究部の合宿で、このライブ盤に出会わなければ、恐らく、今の「音楽の志向」「音楽の好み」は無かったのではないかと思う。それほど、この盤との出会いは「カルチャーショック」だった。
 
Emerson Lake & Palmer(略してEL&P)『Pictures at an Exhibition』(写真)。1971年のリリース。パーソネルは、Keith Emerson (key), Greg Lake (b, g, vo), Carl Palmer (ds)。ロックの中では珍しい、キーボードがメインのトリオ編成。 邦題は『展覧会の絵』。原曲は、19世紀のロシアの作曲家ムソルグスキーが作曲した同名のピアノ組曲『展覧会の絵』。そう、このELPのアルバムは、クラシックの名曲をロック化したもの。しかも、ライブ盤である。
 
振り返って冷静になって考えてみると「クラシックの名曲をロック化した」なんて言う、思いっきり「パチモン」な内容であり、それをライブ音源でリリースするという、無理を思いっきり通す様な「力業」的なアルバムである(笑)。クラシックの名曲のロック化。とにかく「胡散臭い」アルバムではある。が、そんな「胡散臭さ」なんて、全く気にさせない、どころか、そんな「胡散臭さ」が逆に「売り」となるような、不思議かつ歴史的なアルバムではある。
 
まず、EL&Pの演奏力が圧倒的である。特に、キーボードのキース・エマーソンのテクニックが驚異的。ロックの世界で、キーボード・ベース・ドラムという、ジャズのピアノ・トリオの様な演奏フォーマットが成立するのか、という危惧がある。キーボードの音が、電気的に音響的に増幅されたベースの音と激しく叩きまくるドラムの音に相対するのか、ということなんだが、確かに、これは難物ではある。
 
 
Pictures-at-an-exhibition
 
  
しかし、キース・エマーソンの様な攻撃的かつ神懸かり的なテクニックがあれば成立するということが、このライブ盤で証明されている。逆に、このEL&P以外に、キーボード・ベース・ドラムというトリオでのロック・バンドは存在しない。それだけ、キース・エマーソンのキーボードのテクニックが突出しているということだ。

とにかく、コンセプトは何であれ、音楽というものは「演奏力と表現力」が第一であり、ライブ盤であれ、スタジオ録音盤であれ「緊張感と疾走感」がそれを後押しする。歴史的名盤とはそういうものだ。この『展覧会の絵』には、様々な屁理屈を全く受け付けない、有無を言わせない、圧倒的な「演奏力と表現力」と「緊張感と疾走感」が備わっており、そこにクラシックの名曲を引用した「親しみ易さと入り易さ」という要素が付け加わって、このライブ盤は、1971年のリリース以来、永遠の名盤として君臨している。

確かに、振り返ってみると、クラシックの名曲をロック化して、この『展覧会の絵』と同等の成果を上げたロックのアルバムは見当たらない。このライブ盤には「パチモン」と「胡散臭さ」を寄せ付けない、「演奏力と表現力」そして「緊張感と疾走感」に支えられた圧倒的な力強さがある。歴史的名盤とはそういうものである。

このEL&Pの『展覧会の絵』は、クラシック&米国ポップス・ファンだった僕をロックの世界へ引きずり込んだ、なんともはや、罪作りな名盤である。この『展覧会の絵』を経験して以降、まずは「プログレ小僧」の道をまっしぐら。傍らで、ハードロックにもドップリ浸かった(笑)。このライブ盤の体験が、僕の人生のベースを形成する切っ掛けになったことは間違い無い。良い時代に良きロックを知って良かったと心から思っている。確かに、以降の人生が豊かになったことは疑いない。
 
 
 
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