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2020年8月の記事

2020年8月 4日 (火)

『Music From Big Pink』

ザ・バンド(The Band)。1970年代ロックのグループを見渡してみて、あまり、メジャーなバンドではない。特に、日本では知る人ぞ知る、玄人好みのロック・バンドである。しかし、その音楽性ゆえ、1970年代以降のロック・ミュージシャンからは一目置かれ、リスペクトの対象となっているバンドで、いわゆる「ミュージシャンズ・ミュージシャン」である。

そんなザ・バンドのファースト・アルバム『Music From Big Pink』(写真左)は、サイケデリック真っ盛りの1968年リリースの、ロックの歴史にその名を残す「伝説の大名盤」である。

冒頭の「Tears Of Rage」の前奏を聴いて、これは今までのロック・アルバムとは違うという、とんでもない「違和感」を感じる。この「違和感」を喜びと感じるか、感じないかで、ザ・バンドに対する評価が決まるような気がする。オルガンやフィドル、マンドリンが前面に出てくる、「アメリカン・ルーツ・ミュージック」の融合の様な、伝統的な音の作り。シンプルで、無骨なようで繊細、緻密なようで良い意味で「スカスカ」、ドスンと腹に染み入るような重心の低いリズム。どれもが素晴らしい、奇跡的な内容のアルバムです。

ロビー・ロバートソン、ベーシストのリック・ダンコ、ピアニストのリチャード・マニュエルが全11曲を提供していて、どの曲も素晴らしい出来だ。ホントに、どれも甲乙付けがたい素晴らしい曲、素晴らしい演奏内容である。これって、ロック界ではこれって結構、奇跡的な事ではないか。どこから見ても、偏りの無い、バランスの取れたアルバムとなっている。

中でも、マニュエルは2曲でヴォーカルを担当する他、もの悲しいオープニング「Tears of Rage」をボブ・ディランと共作している。このバランスの良さが、このアルバムを「完全無欠」で「類い希な」伝説的アルバムにしている。シンプルで、渋くて、落ち着いていて、トラディショナルで、それでいて古くなく、演奏テクニックは抜群で、歌心があって、スピード感もあり、バラードは情感タップリ。当時「これがロックなのか」と唸りに唸ったのを覚えている。
 
 
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そりゃあそうで、後で知ったことなんだが、このザ・バンドって、当時から、ミュージシャンズ・ミュージシャンだったそうで、今でも若手ロック・バンドの連中からも「リスペクトの対象」であり続けているいる、凄いバンドなのだ。米国人1人+カナダ人4人という構成ながら、彼らは米国人以上に「古き良き米国」を理解していた。その楽曲とサウンドはアメリカのルーツを掘り下げたものであった。彼らの唄い上げる世界は実に落ち着いていて優しい、今や失われてしまった「古き良き米国」の姿そのもの。

1970年代において「アメリカン・ルーツ・ミュージック」の数々の要素を演奏のベースとしつつ、完全な「アメリカン・ルーツ・ロック」を表現していたバンドは、この「ザ・バンド」だけである。そういう意味では、最近トレンドとなって来た「アメリカン・ルーツ・ロック」の源と言えるだろう。

ザ・バンドの音楽は「アメリカン・ルーツ・ミュージック」を融合させた「アメリカン・ルーツ・ロック」と言えるものであり、当時スワンプと呼ばれた米国南部指向のロックとは明らかに一線を画した、唯一無二のオリジナリティー溢れるサウンドは、ザ・バンドだけのものであり、だからこそ、今でも、若手ロック・ミュージシャンから目標とされる「伝説のロック・バンド」であり「アメリカン・ロックの最高峰」であり続けている。

ミュージシャンズ・ミュージシャンとして、今なお、多くのロック・アーティストからリスペクトの念を持って扱われている「ザ・バンド」。カナダ人4人とアメリカ人1人が見た・感じた「米国の原風景」がアルバムの中に散りばめられています。このファースト・アルバムを体験して、それまでの音楽的な価値観が変わっちゃった人、結構、いるんじゃないかと思います(僕もそうです)。嗜好が合えば「とことん聴き込んでしまう」そんなアルバムです。

有名な話では、クリームで過激なロック・インプロビゼーションをやっていたエリック・クラプトンがこのファースト・アルバムを聴いた途端、今までの自分を捨てて、スワンプ一辺倒に鞍替えしたという逸話があります。とにかく、スワンプやサザン・ロック、1970年代クラプトンが好きな人は、一度、聴いてみて下さい。きっと気に入るというか、「こんなロックがあったんや」と、ちょっとした衝撃を受けると思います。
 
 
 
東日本大震災から9年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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