The Band の「最高傑作」盤
ザ・バンドは、カナダ人4人(Robbie Robertson (gu, vo), Richard Manuel (key, ds, vo), Garth Hudson (key, accordion, sax), Rick Danko (b, vo, fiddle))とアメリカ人1人(Levon Helm (ds, vo, mandolin, g))の5人編成。この編成で極上の「米国ルーツ・ロック」を奏でるのだから面白い。様々な米国のルーツ音楽を取り入れた「小粋で渋いロック」をするバンドなのだが、生粋の米国人は一人しかいない。
しかし、ザ・バンドの演奏する「米国ルーツ・ロック」は、そのジャンルにおいては未だに最高峰に位置し、米国ロックという範疇の中でも「レジェンド中のレジェンド」的位置づけのバンドであることは間違い無い。1960年代後半に出現した「スワンプ・ロック」の要素を強く感じさせるが、ザ・バンドの音世界はその「スワンプ」の範疇に留まらず、幅広に米国ルーツ音楽を取り入れ、ザ・バンド独特のオリジナリティー溢れる「米国ルーツ・ロック」として「独立峰」の如く君臨している。
『The Band』(写真左)。自らのバンドをタイトルに冠したアルバムがある。1969年の作品。デビュー盤『Music from Big Pink』に次ぐ、ザ・バンドのセカンド盤である。デビュー盤は「ザ・バンド with ボブ・ディラン」の雰囲気が仄かに漂い、少なからずディランの影響を聴くことが出来たのだが、このセカンド盤については、完全に「ザ・バンドの音」で統一されている。自らのバンドをタイトルに冠したのも、そうした事情によるものだと推測している。
全曲、珠玉の名曲揃い。冒頭「Across the Great Divide」から、ラスト曲「King Harvest (Has Surely Come)」まで、米国ルーツ・ロックのお手本がずらり、12曲が並ぶ。CDリイシュー時にボートラが追加されていて、正式なアルバム収録曲が判り難くなっているが、アルバムを聴く折には、このオリジナルの12曲で留めたい。ボートラの演奏とは全く事前の異なる、上質の「米国ルーツ・ロック」の名曲名演がオリジナルとして君臨している。
どの曲がどうとか、こうとか、言うつもりは毛頭無い。全曲が素晴らしいのだ。米国の原風景を、幅広に米国ルーツ音楽を取り入れ(アコーディオンやフィドル、マンドリンの活用などもその一環)つつ、ロックのリズム&ビートに乗せて、小粋に渋く演奏していく。もちろん演奏テクニックは全員高い。ロックにありがちな「演奏テクニックに課題がある」なんてことは無い。相当に洗練されたロックンロールの音作りがそれを証明している。
最近、米国ルーツ・ロック志向のポップスが米国で流行っているが、その大きな源のひとつが、この「ザ・バンド」である。その「ザ・バンド」の自らのバンドをタイトルに冠したアルバムがこのセカンド盤。極端に言うと、ザ・バンドを体験するには「この一枚」でも事足りる。ザ・バンドという米国ルーツ・ロックのレジェンド中のレジェンドの「最適なサンプル」がこの盤に詰まっている。シンプルなデザインのジャケも渋くて良好。名盤である。
東日本大震災から9年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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