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2024年1月 4日 (木)

イーグルス『The Long Run』

イーグルスと言えば、米国西海岸ロックの代表的バンドのひとつ。一般的には、イーグルスと言えば、やはり『Hotel California』というアルバムを連想される方が大多数だろう。

このアルバムは非常に罪作りなアルバムで、ロックの限界と終焉を示したアルバムとして位置づけられている。しかし、このアルバムは、耳障りの良い、脳天気な「フォーク・ロックな音」から、AORを意識した、ハードでアーバンな音を内包した「大人のロック」に転身しようとしたアルバムであり、歌詞の内容があまりに「大人」だった為に、伝説のロック・アルバムとして祭り上げられた「きらい」がある。

「ホテル・カルフォルニア」という曲が、シングル・カットされたのは、当初、日本の話で(歌詞が英語で、歌詞の内容がよく判らないまま、曲の雰囲気だけを重視する日本ならではの仕業だけど・・・・)、アルバムがリリースされてから半年も後の話。遅れて、米国でもシングル・カットされて、これが大ヒットとなる訳だけど、歌詞の内容からして、はたして、イーグルスにとって、米国にとってよかったことなのか、今でも疑問を感じる。

まあ、日本では、英語の歌詞が判らないから、そんなことお構いなしで、ガンガン売れたが、なんだか、こんなところに日本の音楽産業の貧しさと卑しさが見え隠れして、当時、なんだか、いや〜な感じを抱いたのを覚えている。

恐らく、イーグルスのメンバーからすると、恐らく、ロックの限界と終焉を示そうとして作ったアルバムでは無かったと思うが、これが、メンバーの意図しないところで、伝説のロック・アルバムとして祭り上げられ、その売上たるや莫大なものになる。当然、世の中から、次のアルバムに過大な期待がかかる。

Eagles『The Long Run』(写真左)。1979年の作品。相当なプレッシャーだったと思う。『Hotel California』後、3年間の時間が経過して、やっとリリースされたアルバム。このアルバムはひどかった。アルバムのA面に針を落とした瞬間から「???」。
 

The_long_run

 
ゆるゆるなギター、中途半端なリズム、贅肉だらけのコーラス。当時、人間って豊かになるとこうなるのか、と唖然としたものだが、豊かになったから、ということでは無く、バンドとして音作りの方向性が見いだせなくなった、ということだろう。

とにかく、この『The Long Run』がリリースされた1979年、1960年代後半から積み上げられてきた「ロック」というジャンルは、既に、その精神、方向性を見失い、崩壊していたのだろう。とにかく、いいところを見いだそうとしても、それを上回る問題点が見えてしまうわけで、当時、大いに評価に困ったものだ。

『The Long Run』に収録された楽曲を見渡しても、ほどんど、本来のイーグルスらしいナンバーは無い。カリフォルニアを感じられる米国西海岸ロックの爽快感、疾走感は全く感じられない。ダークでアーバンなAORならではの官能美だけが見え隠れする楽曲が多い。この『The Long Run』での音作りは、もはや従来からのイーグルスの音ではない。

といって、新しいイーグルスの音として、何かが新しく生まれている訳では無い。イーグルスにとって、このアルバムがオリジナル・アルバムの最後、というのが、痛いほど感じる事が出来る、気怠く退廃的な雰囲気が充満している。さすがに、そこそこの完成度は維持しているんだが、イーグルスのアルバムとしては評価するのは、かなり苦しい内容だ。1979年という時代のイーグルスとしての歴史的事実としての価値はあるとは思うが・・・。

そんな中でも、「I Can't Tell You Why」「Heartache Tonight」の2曲は、アーバンなAORとして秀逸なナンバーだとは思う。そして、物悲しいのはラストの「The Sad Cafe」。「The Sad Cafe」とは、ロスはハリウッドのライブ・ハウス「トルバドール」のこと。イーグルスが、米国西海岸ロックが生まれ育った「ホームグラウンド」の終焉を悲しく歌い上げている。

その後、イーグルスは、これまた、ひどい内容のライブ・アルバムをリリースし、文字どおり、「ひとりでズッコケて、ひとりで解散していった」のである。1982年5月正式に解散が発表される。
 
 

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