Eric Clapton『There's One in Every Crowd』
「なぜか夏になると聴くロック」である。暑い夏には、高校時代から、暑苦しい「ハード・ロック」や「プログレ」はどうも聴く気にならない。高校2年の夏だったか、映研の部室で「暑い暑い」と言いながら、「暑い夏にピッタリのロックは無いんか〜」と騒いでいたら、「それやったら、レイド・バックやろ」と言われて、「???、レイド・バック?」。
レイドバック(laid-back)というのは「くつろいだ、のんびりとした、ゆったりした」という意味である。ロックの用語として良く使われるが、その場合、主にリズムの感覚を表す。具体的な例を挙げると、レゲエのリズムや、サザン・ロックのバラードなどの「ゆったりとくつろいだ感じ」が「レイド・バック」である。
Eric Clapton『There's One in Every Crowd』(写真)。1975年の作品。邦題「安息の地を求めて」。さて、「ん〜っ、レイド・バックってなんやねん」と訊いたら、「そうやねえ、これもレイド・バックや。聴けば判る」、と聴かされたアルバム。
クラプトンの、ギンギンとブルース・ギターを弾きまくる「ギターの神様」のイメージからすると、拍子抜けしてしまう、クラプトンの歴史の中では、ちょっと異質な、真に「レイド・バック(くつろいだ、のんびりとした、ゆったりした)」したアルバム。
ですが、幸いにも、当時、僕は、クラプトンと言えば、前作『461 Ocean Boulevard』しか知らなかった(笑)。でも、このアルバムは、クラプトンの数あるアルバムの中でも、いわゆる商業的な成功は収めてないが、ファンに人気が高い「隠れ名盤」。
冒頭の「We've Been Told(Jesus Is Coming Soon)」。アコギの音が素晴らしく、心地良い。2曲目は、レゲエ・ソング「Swing Low Sweet Chariot」。枯れた調子のクラプトンのヴォーカルもさることながら、バック・コーラスのマーシーとイヴォンヌもリラックスして、良い調子で歌い上げているのが印象的。この曲、今でも大好きな曲です。
5曲目の「The Sky Is Crying」は、レゲエ調の曲が多いこのアルバムの中で、際だったブルース・ナンバー。ライヴでも良く演奏される佳曲ですね。ラストの「Opposites」などは、リラックスの極みである。
このクラプトンの歴史の中では、ちょっと異質なアルバムですが、ブルーズ・レゲエ・ゴスペル系の曲を中心に、「軽快なジャマイカのリズム」、「テンションは高いがリラックスしたアコギの音」、「ここ一発のクラプトンのエレキの職人技」。心地良い「ロックな安らぎ」を感じる、夏にピッタリのアルバムの一つです。
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