The Band

2021年1月22日 (金)

The Band『Stage Fright』

我がバーチャル音楽喫茶『松和』の「懐かしの70年代館」。秋から冬にかけてのブームは「The Band」。

事の発端は、高校3年生の晩秋に遡る。文化祭の後、高校3年生のけじめとして好きな女の子に振られ、受験勉強の拠り所を無くした松和のマスターは、やけになって持てる小遣いを叩いて、LPを2枚買う。一枚は、なぜか、オフコースの「Song Is Love」。そして、もう一枚は「The Best Of The Band」。これがまあ、どちらも僕にとっては「大当たり」。

特に、The Bandには感じ入った。こんなロックがあったのかと思った。それまでは、プログレ小僧であり、ゼップ小僧であり、サザンロック野郎だった。が、ここで、生まれて初めて、米国ルーツ・ロックに出会い、これぞ、自分の感性にピッタリ合ったロック・バンドだと確信した。その確信は、今でも変わらない。

最近、このThe Bandについては、ファースト・アルバムの『Music From Big Pink』とセカンド・アルバムの『The Band(Brown Album)』だけが、やけに名盤として紹介され、後のアルバムは、あまり採りあげられないのに不満を覚えている。このサード・アルバムだって名盤である。

改めて、The Band『Stage Fright』(写真)。1970年発表作品。観客のいない空席のホールで録音するというユニークな発想で作られたアルバム。確かに、演奏の録音のエコーが普通のスタジオでのエコーでは無い。ホールの広さが感じられる自然なエコーなのだ。よって、演奏の雰囲気は結構「生々しい」。

前の2作に比べて、演奏はラフでワイルドになっている。丁寧に作られたというよりは、ライブの勢いで一発録りで録られたような程良い荒さが、このアルバムの最大の特徴です。僕はこのワイルドなThe Bandも大好きなんですね〜。
 
 
Stage_fright
 
 
米国ルーツ・ロックの雰囲気は、このアルバムにも、ギッシリ詰まっています。というか、前の2作に比べて、米国ルーツ・ロックの雰囲気は強い。これだけの米国ルーツ・ロックのアルバムは現代でもありません。米国ルーツ・ロックの世界の中で、如何にThe Bandが優れていたかが判ります。
 
フィドルが歌い、フォーキーなアコギは魅力的に響き、歩く速さがゆったりとして魅力的な、重心の低いリズムセクションが心地良いビートを供給する。オルガンの響きも豊か。そこに、ロックなピッキング・ハーモニクスを駆使したエレギが雄叫びをあげ、魅惑的な若年寄風のボーカルが絡みまくる。

『Stage Fright』とは、日本語に訳すと「ステージ恐怖症」。当時、ソング・ライティングを担当していたロビー・ロバートソンは、前の2作の成功がプレッシャーになって、曲が書けなくて困った、なんてことを言っていたが本当だろうか。

「Time To Kill」「All La Glory」「The Shape I'm In」「The W.S. Walcott Medicine Show」「Daniel And The Sacred Harp」そして「Stage Fright」と名曲、名演が目白押し。ほんまにロバートソンって、スランプやったんかいな、と思ってしまう。まあ、ロバートソンは策士やからなあ。自分の虚言で架空の伝説を創っている雰囲気がプンプンするので、ロバートソンの発言は信用できん(笑)。

僕は、特に「Stage Fright」という楽曲にぞっこんで、この「Stage Fright」こそが、The Band のベスト・チューンと信じて止みません。リチャード・マニュエルのヴォーカルが男らしく、とにかく格好良い。加えて、ガース・ハドソンのウネウネ・キーボードが絶品。これって癖になります(笑)。冒頭の「Strawberry Wine」でのレボン・ヘルムのボーカルも良い。

つまり、このサード・アルバムの『Stage Fright』も名盤ということ。前の2作で、The Bandを好きになった方は、この『Stage Fright』も絶対に聴いて下さい。『Music From Big Pink』と『The Band(Brown Album)』、そして『Stage Fright』の3枚を聴き通して The Bandがお気に入りになれば、必ずや、The Band者の仲間入りができます。
 
 
 
東日本大震災から9年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2020年10月 8日 (木)

The Band の「最高傑作」盤

ザ・バンドは、カナダ人4人(Robbie Robertson (gu, vo), Richard Manuel (key, ds, vo), Garth Hudson (key, accordion, sax), Rick Danko (b, vo, fiddle))とアメリカ人1人(Levon Helm (ds, vo, mandolin, g))の5人編成。この編成で極上の「米国ルーツ・ロック」を奏でるのだから面白い。様々な米国のルーツ音楽を取り入れた「小粋で渋いロック」をするバンドなのだが、生粋の米国人は一人しかいない。

しかし、ザ・バンドの演奏する「米国ルーツ・ロック」は、そのジャンルにおいては未だに最高峰に位置し、米国ロックという範疇の中でも「レジェンド中のレジェンド」的位置づけのバンドであることは間違い無い。1960年代後半に出現した「スワンプ・ロック」の要素を強く感じさせるが、ザ・バンドの音世界はその「スワンプ」の範疇に留まらず、幅広に米国ルーツ音楽を取り入れ、ザ・バンド独特のオリジナリティー溢れる「米国ルーツ・ロック」として「独立峰」の如く君臨している。

『The Band』(写真左)。自らのバンドをタイトルに冠したアルバムがある。1969年の作品。デビュー盤『Music from Big Pink』に次ぐ、ザ・バンドのセカンド盤である。デビュー盤は「ザ・バンド with ボブ・ディラン」の雰囲気が仄かに漂い、少なからずディランの影響を聴くことが出来たのだが、このセカンド盤については、完全に「ザ・バンドの音」で統一されている。自らのバンドをタイトルに冠したのも、そうした事情によるものだと推測している。
 
 
The-band-album  
 
 
全曲、珠玉の名曲揃い。冒頭「Across the Great Divide」から、ラスト曲「King Harvest (Has Surely Come)」まで、米国ルーツ・ロックのお手本がずらり、12曲が並ぶ。CDリイシュー時にボートラが追加されていて、正式なアルバム収録曲が判り難くなっているが、アルバムを聴く折には、このオリジナルの12曲で留めたい。ボートラの演奏とは全く事前の異なる、上質の「米国ルーツ・ロック」の名曲名演がオリジナルとして君臨している。

どの曲がどうとか、こうとか、言うつもりは毛頭無い。全曲が素晴らしいのだ。米国の原風景を、幅広に米国ルーツ音楽を取り入れ(アコーディオンやフィドル、マンドリンの活用などもその一環)つつ、ロックのリズム&ビートに乗せて、小粋に渋く演奏していく。もちろん演奏テクニックは全員高い。ロックにありがちな「演奏テクニックに課題がある」なんてことは無い。相当に洗練されたロックンロールの音作りがそれを証明している。

最近、米国ルーツ・ロック志向のポップスが米国で流行っているが、その大きな源のひとつが、この「ザ・バンド」である。その「ザ・バンド」の自らのバンドをタイトルに冠したアルバムがこのセカンド盤。極端に言うと、ザ・バンドを体験するには「この一枚」でも事足りる。ザ・バンドという米国ルーツ・ロックのレジェンド中のレジェンドの「最適なサンプル」がこの盤に詰まっている。シンプルなデザインのジャケも渋くて良好。名盤である。
 
 
 
東日本大震災から9年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2020年9月 2日 (水)

『The Best of The Band』

高校1年生の夏、EL&Pの『展覧会の絵』を体験して、プログレ小僧になった。そして、高校2年の秋からロックの志向が大変化して、スワンプや米国ルーツ・ロックが好きになっていった。そんな中、米国ルーツロックの最高峰「ザ・バンド(The Band)」との出会いって、何時だったのだろう。僕とザ・バンドとの出会いは何時のことだったか、と昔の記憶をたどり始めた。あれは確か、1976年の秋だったと思う。

高校3年生も残り僅か。そんな時期、受験勉強もろくにせず、高校3年生の秋の文化祭に向けて映画を作ってしまったので、ほとんど受験勉強は出来ていない。なんだかとても寂しい秋もとっぷり深まったある日、近くのレコード屋に立ち寄った。ここで「ザ・バンド」のベスト盤と出会う。そして、なぜか、オフコースの当時の新譜『Song Is Love』と一緒に買って帰ったのを覚えている。

ザ・バンドって、雑誌ミュージック・ライフなんかの写真とか紹介記事で名前は知っていたが、どんな音楽を演奏する連中なのか全く知らなかった。なんとなく、米国ルーツ・ロックな音を出すのだろう、というイメージはあった。でも、どんな音がするのか判らんのに、当時、よく2,300円も出して買ったもんだ。まあ、高校3年生の寂しすぎる秋に、茫然自失状態のまま、この「ザ・バンド」のベスト盤を手にしてしまったと思われる。

『The Best of The Band』(写真左・写真右は日本での帯紙付きリリース盤)。1976年7月のリリース。米国ルーツロックの最高峰「ザ・バンド(The Band)」のベスト盤である。それまで、クラプトンやオールマンズを通じて、米国南部、いわゆるサザンロック、スワンプなど、米国ルーツ・ロックな音は知っていた。が、これが聴いてみて「大ショック」たっだ。

当時「これがロックなのか」と唸りに唸ったのを覚えている。そりゃあそうで、後で知ったことなんだが、このザ・バンドって、当時から、ミュージシャンズ・ミュージシャンだったそうで、今でも若手ロック・バンドの連中からも「リスペクトの対象」であり続けているいる、凄いバンドなのだ。
 
 
The-best-of-the-band  
 
 
このアルバムの収録曲は以下のとおり、全11曲。当時の最新盤『Northern Lights Southern Cross』までのアルバムの中から選ばれている。いや、6曲目(LPではB面の1曲目)「Twilight(たそがれの流れ者)」だけがアルバム未収録のシングル曲。この選曲についてはベスト・オブ・ベストと言った内容。基本的には、あまりベスト盤は薦めたくないのだが、とにかくこのベスト盤は選曲と曲順が素晴しく、作品的な質も高い。
 
 
1. Up On Cripple Creek 
2. The Shape I'm In 
3. The Weight 
4. It Makes No Difference 
5. Life Is A Carnival
6. Twilight 
7. Don't Do It 
8. Tears Of Rage 
9. Stage Fright
10. Ophelia
11. The Night They Drove Old Dixie Down
 
 
こんなにシンプルで渋くて、落ち着いていてトラディショナルで、それでいて古くなく、演奏テクニックは抜群で歌心があって、スピード感もあり、バラードは情感タップリ。演奏は飾りのないシンプルな音だが、そのテクニックは実に高度。ど派手なハードロックよりも味わいがあって小粋。演奏自体を繰り返し繰り返し楽しめる。

俗に言う「カルチャーショック」である。コペルニクス的転回であった。このベストアルバムを聴いて以来、渋〜いロックに走っていって、ついには、米国ルーツ音楽の要、ジャズにのめり込んでいくのである。
 
 
 
東日本大震災から9年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2020年8月 4日 (火)

『Music From Big Pink』

ザ・バンド(The Band)。1970年代ロックのグループを見渡してみて、あまり、メジャーなバンドではない。特に、日本では知る人ぞ知る、玄人好みのロック・バンドである。しかし、その音楽性ゆえ、1970年代以降のロック・ミュージシャンからは一目置かれ、リスペクトの対象となっているバンドで、いわゆる「ミュージシャンズ・ミュージシャン」である。

そんなザ・バンドのファースト・アルバム『Music From Big Pink』(写真左)は、サイケデリック真っ盛りの1968年リリースの、ロックの歴史にその名を残す「伝説の大名盤」である。

冒頭の「Tears Of Rage」の前奏を聴いて、これは今までのロック・アルバムとは違うという、とんでもない「違和感」を感じる。この「違和感」を喜びと感じるか、感じないかで、ザ・バンドに対する評価が決まるような気がする。オルガンやフィドル、マンドリンが前面に出てくる、「アメリカン・ルーツ・ミュージック」の融合の様な、伝統的な音の作り。シンプルで、無骨なようで繊細、緻密なようで良い意味で「スカスカ」、ドスンと腹に染み入るような重心の低いリズム。どれもが素晴らしい、奇跡的な内容のアルバムです。

ロビー・ロバートソン、ベーシストのリック・ダンコ、ピアニストのリチャード・マニュエルが全11曲を提供していて、どの曲も素晴らしい出来だ。ホントに、どれも甲乙付けがたい素晴らしい曲、素晴らしい演奏内容である。これって、ロック界ではこれって結構、奇跡的な事ではないか。どこから見ても、偏りの無い、バランスの取れたアルバムとなっている。

中でも、マニュエルは2曲でヴォーカルを担当する他、もの悲しいオープニング「Tears of Rage」をボブ・ディランと共作している。このバランスの良さが、このアルバムを「完全無欠」で「類い希な」伝説的アルバムにしている。シンプルで、渋くて、落ち着いていて、トラディショナルで、それでいて古くなく、演奏テクニックは抜群で、歌心があって、スピード感もあり、バラードは情感タップリ。当時「これがロックなのか」と唸りに唸ったのを覚えている。
 
 
Music_from_big_pink  
 
 
そりゃあそうで、後で知ったことなんだが、このザ・バンドって、当時から、ミュージシャンズ・ミュージシャンだったそうで、今でも若手ロック・バンドの連中からも「リスペクトの対象」であり続けているいる、凄いバンドなのだ。米国人1人+カナダ人4人という構成ながら、彼らは米国人以上に「古き良き米国」を理解していた。その楽曲とサウンドはアメリカのルーツを掘り下げたものであった。彼らの唄い上げる世界は実に落ち着いていて優しい、今や失われてしまった「古き良き米国」の姿そのもの。

1970年代において「アメリカン・ルーツ・ミュージック」の数々の要素を演奏のベースとしつつ、完全な「アメリカン・ルーツ・ロック」を表現していたバンドは、この「ザ・バンド」だけである。そういう意味では、最近トレンドとなって来た「アメリカン・ルーツ・ロック」の源と言えるだろう。

ザ・バンドの音楽は「アメリカン・ルーツ・ミュージック」を融合させた「アメリカン・ルーツ・ロック」と言えるものであり、当時スワンプと呼ばれた米国南部指向のロックとは明らかに一線を画した、唯一無二のオリジナリティー溢れるサウンドは、ザ・バンドだけのものであり、だからこそ、今でも、若手ロック・ミュージシャンから目標とされる「伝説のロック・バンド」であり「アメリカン・ロックの最高峰」であり続けている。

ミュージシャンズ・ミュージシャンとして、今なお、多くのロック・アーティストからリスペクトの念を持って扱われている「ザ・バンド」。カナダ人4人とアメリカ人1人が見た・感じた「米国の原風景」がアルバムの中に散りばめられています。このファースト・アルバムを体験して、それまでの音楽的な価値観が変わっちゃった人、結構、いるんじゃないかと思います(僕もそうです)。嗜好が合えば「とことん聴き込んでしまう」そんなアルバムです。

有名な話では、クリームで過激なロック・インプロビゼーションをやっていたエリック・クラプトンがこのファースト・アルバムを聴いた途端、今までの自分を捨てて、スワンプ一辺倒に鞍替えしたという逸話があります。とにかく、スワンプやサザン・ロック、1970年代クラプトンが好きな人は、一度、聴いてみて下さい。きっと気に入るというか、「こんなロックがあったんや」と、ちょっとした衝撃を受けると思います。
 
 
 
東日本大震災から9年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

2021年3月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

リンク

  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。
  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。
  • ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ
    ジャズ喫茶『松和』は、ネットで実現した『仮想喫茶店』。マスターの大好きな「ジャズ」の話題をメインに音楽三昧な日々をどうぞ。このブログがメインブログです。