Yes

2022年12月 6日 (火)

Complete Keys to Ascension

1975年、先輩から借り受けた、LP3枚組大作ライブ盤『Yes Songs』を聴いて以来、37年間、このバンドのファンであり続けている。そのバンド名とは「Yes]。日本語で「はい」。なんとポジティブなバンド名だろう(笑)。

このバンドは常にポジティブ。バンドのメンバーはコロコロ替わる。しかし、バンド経験者の顔ぶれは一定していて、常に新顔が入る訳では無い。ある特定のメンバーの顔ぶれの中で脱退したり、再加入したり。それでも、その時々で、名作を生み出したりするのだから、バンドのメンバー編成についても実にポジティブなバンドである。

このメンバーだけはバンドの個性として外せないという拘りもあっさり捨て去るポジティブさ。バンドの個性を決定付ける大きな要素の一つが「ボーカル」。イエスのボーカルと言えば、ジョン・アンダーソンだが、これも2008年にあっさりと捨て去った。「良く似た声であれば問題無い」。なんてポジティブなんだ(笑)。

何度も、自分の都合だけでバンドを出たり入ったりするキーボード。リック・ウェイクマンは、イエスに5回加入し、5回も脱退している(笑)。それでも、イエスはこの我が儘なキーボードが望めば必ず受け入れる。なんてポジティブなんだ(笑)。

このメンバーがコロコロ替わるが、そのバンドの個性的な演奏のスタイルと音は変わらない、本当に不思議なプログレッシブ・ロックのバンドである。しかし、このバンドの超絶技巧なテクニックを駆使した圧倒的な演奏力と、クラシックに影響された、長尺でコンセプトの秘めた構築美溢れる演奏展開。プログレ・バンドの中で、その演奏力と構築力について、このイエスの右に出るバンドは無い。

そんなイエスのバンドとしての力量を感じることの出来るアルバムと言えば「ライブ盤」だろう。そんなライブ盤としては、1973年リリースのLP3枚組大作ライブ盤『Yes Songs』が有名。これは凄い内容のライブ盤で、イエスの初期のパフォーマンスの「異常なほど高いレベル」の演奏を聴くことが出来る。
 

Complete_keys_to_ascension_1

 
そして、その後のイエスを総括する優れた内容のライブ盤がなかなか出なかったが、1996年『Keys to Ascension』、1997年『Keys to Ascension 2』と立て続けに、優れた「スタジオ新録とライヴ音源の抱き合わせ盤」がリリースされた。現在では、この2組のアルバムを統合して『Complete Keys to Ascension』(写真左)としてリリースされている。

これがまあ、素晴らしい内容のアルバムに仕上がっているのだ。特にライブ・パートが秀逸。結論から言ってしまうと、先に話題にした、イエス初期のライブ盤の傑作『Yes Songs』に続く、イエスの1995年までの演奏経歴を総括した、素晴らしい内容、素晴らしい選曲のライブ・パートと言って良い内容である。

ちなみにパーソネルは、Jon Anderson (vo), Chris Squire (b), Steve Howe(g), Rick Wakeman (key), Alan White (ds)。偶然にも、1973年リリースのLP3枚組大作ライブ盤『Yes Songs』と同一のパーソネル。イエスの往年の黄金期を形成したメンバーである。

とにかくライブ・パートの選曲が良い。イエスの歴史の中で「定番中の定番」、つまり「これは外せない」曲について、しっかり収録しており、「これはイエス・マニアが喜ぶ」選曲やなあ、と感心する曲もしっかりと収録されている。

そして、1990年代の機材の進歩、成熟のお陰で、このライブ・パートの音もなかなか洗練されている。音が良いロックのライブ音源には歴史的名盤が多い。そう言えば、1973年リリースのLP3枚組大作ライブ盤『Yes Songs』も音が良かった。この『Complete Keys to Ascension』のライブ・バーとも、音も分離が良く、デジタルっぽく音が細ったりしていない。

このスタジオ新録とライヴ音源の抱き合わせ盤『Complete Keys to Ascension』は、イエス・マニアとしては必須のアイテムだろう。プログレ・ファンについては一度は聴いて欲しいレベルのCDである。イエスを初めて体験しようとする方々にはお勧めしない。

往年のイエスの演奏力とイエスの個性、イエスのアプローチに馴れ親しんでこそ、このスタジオ新録とライヴ音源の抱き合わせ盤『Complete Keys to Ascension』の価値と立ち位置が理解出来る。そんな、イエス・マニアにとって踏み絵の様な「スタジオ新録とライヴ音源の抱き合わせ盤」である。 
 
 

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70年代イエスの音「ABWH」

日曜日のブログは「ジャズの合間の耳休め」。今日はプログレッシブ・ロック(略して「プログレ」)の話題を。ロックというジャンルにとらわれることなく、他ジャンルの影響をも反映した、前衛的あるいは先進的(プログレッシブ)かつ実験的なロックの総称。1970年代に一世を風靡し、現代においてもスタイルの拡散・細分化が進んでいる。

ジャズ者になる前、高校生時代の前半は完璧な「プログレ小僧」だった私こと松和のマスター。ジャズ者になってからも、インスト中心のプログレは「ジャズの合間の耳休め」に最適。21世紀になってからは、プログレ好盤の大人買いを進め、まずまずのコレクションになった。

今回、気になっているブツがあって、どうしようかな、と悩んでいたのだが、遂に入手するに至り、このブツの入手が切っ掛けとなって、伝説のプログレバンド「イエス」のアルバムを聴き直すことになってしまっている。まあ、意外と「イエス」がお気に入りなので、懐かしみながら楽しみながらの聴き直しである。

そんな聴き直しの中、かなり久し振りに聴いて感心したアルバムがある。『Anderson Bruford Wakeman Howe』(写真)。4人の主要メンバーのセカンド・ネームを羅列しただけのバンド名をそのままアルバム名にした、やっつけ感満載のプログレ盤である。1989年のリリース。邦題は『閃光』。邦題の真に意味するところは未だに不明である(笑)。

この羅列された4人の主要メンバーのセカンド・ネームを見れば「ああ、これはイエスのメンバーが集まって作ったアルバムなんや」と直ぐに判る。Wikipediaによると以下の様な結成経緯を経たバンドだということが判る。

「1980年代、イエス再結成後の活動に於いて、新メンバー、トレヴァー・ラビン(g, vo, key)のイニシアティヴによってコマーシャル化していったことに幻滅したジョン・アンダーソン(vo)が、1988年にイエスを脱退し、『こわれもの』や『危機』を発表した頃のような、1970年代にあった創造性を蘇らせようと当時のメンツを呼び寄せて結成したバンドである。略称は「ABWH」。
 

Anderson_bruford_wakeman_howe_1

 
確かにその通りで、この『Anderson Bruford Wakeman Howe』に詰まっている音世界は、1970年代のイエスの音世界を踏襲している。が、1989年の録音である。録音環境はデジタルに移行しているので、アルバムに収録されている音は明らかにデジタルっぽい。音の雰囲気は明らかに「70年代イエス」なので、録音の音の雰囲気にも凝って欲しかったなあ、というのが本音。

主要メンバー4人、「70年代イエス」は5人。あれ、誰がいないのか、と見渡して見ると、ベースのクリス・スクワイアがいません。ということで、この『Anderson Bruford Wakeman Howe』を聴いて、これが「70年代イエス」の音だよ、と言われて、何かが足らないなあ、と思う貴方は完璧な「イエス者」です。確かに、あの太いブンブン・エレベの音が無いので、これが実に物足りない(笑)。

加えて、7曲目の「Teakbois」だけは、ちょっとなあ、という雰囲気な楽曲で惜しい。「ワールド・ミュージック」へのアプローチと捉えれば聞こえが良いのですが、この楽曲の冒頭のカリブ音楽のリズムやサウンド、さらに3分前後からのどことなく、60年代モータウン風のコーラス、5分前後のラテン音楽風のコーラスなど、「70年代イエス」の音世界とは全く無縁というか、このアルバムで唯一の「大いなる違和感」を感じるトラックです。

7曲目の「Teakbois」を除けば、「70年代イエス」の再現と言っても良いとは思いますが、この楽曲だけはどうにも、いつ聴いても「ひき」ます(笑)。それでも、この『Anderson Bruford Wakeman Howe』は、「70年代イエス」の音世界の再現としては、まずまずの出来でしょう。往年の「イエス者」の方々も概ね良好な評価に落ちついています。

アルバム・ジャケットもロジャー・ディーンのイラストが復活していて、往年のイエス者からすれば嬉しい限りのアルバムです。でも、この「Anderson Bruford Wakeman Howe」というバンドもこの一枚で終わり。本当に、お家騒動の好きなイエスのメンバー達ではあります。
 
 

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Yes『Fly From Here』を聴く

ジャズの合間の「耳休め」。1970年代ロック発祥のプログレッシブ・ロックのアルバムを聴く。僕にとっての「三大プログレ・バンド」と言えば、イエス、ピンク・フロイド、キング・クリムゾン。こうやって並べてみると、どれもまだ活動中のバンドではないか。よって、新アルバムが出たら、ついつい手が出る。昔からの馴染みで「ポチッ」としてしまうんやなあ(笑)。

今から3年半ほど前になるが、イエスの10年ぶりとなる新アルバムが出た。2011年の夏、そのアルバムとは、Yes『Fly From Here』(写真左)。アルバム・ジャケットからして、完璧に「Yes」している。まったくもって素敵なロジャー・ディーンのイラストが味わい深い、イエスらしいジャケット。ジャケットのど真ん中、ちょっと上にあの「Yesのロゴ」。昔からのイエス者にとっては「たまらない」。

しかし、この新アルバム、イエスの往年のボーカリスト、ジョン・アンダーソン抜きのイエスなのだ。ちなみに核となるパーソネルは、Chris Squire (b,vo), Steve Howe (g,vo), Alan White (ds), Geoff Downes (key), Benoit David (vo)。イエスのオリジナル・メンバーからすると、メイン・ボーカルのジョン・アンダーソンとキーボードのリック・ウェイクマンがいない。

イエスと言えば、イエスのバンドの個性と特徴を決定付ける要素として、ジョン・アンダーソンのボーカルとリック・ウェイクマンのキーボードが挙げられるだけに、この二人のいない「イエス」って、どうなんの、って感じで、このアルバムを入手し、聴き始めた。

が、いやいや、それは杞憂でした。このアルバムに詰まっている音は、やっぱり「イエス」の音でした。盟友Trevor Hornがプロデュースです。ということは『Drama』の音やね、と思って収録曲のタイトルを見たら、トレバーとジェフでのアルバム『Drama』の頃のライブのみでの演奏曲「We Can Fly From Here」を発展させた組曲「Fly From Here」から始まる。
 

Fly_from_here_1

 
ポップなプログレッシブ・ロックが展開される。耳に優しく、聴き易いプログレ。変に転調したり、変則拍子を繰り出したりしない。安心、安定な展開が心落ち着くプログレッシブ・ロック。良い感じです。今の時代にピッタリの雰囲気。いや~ビックリしました。嬉しい意外性とでも言ったら良いのか、もっと、昔のクラシック・イエスの音を踏襲するかと思っていたのですが、良い意味で期待を裏切られました。

ベノワ・ディヴィッドのボーカルも良好。ジョン・アンダーソンそっくりのボーカルなんて揶揄されますが、確かに声質は似ています。が、アンダーソンそっくりではありません。雰囲気が合っている、という感じですかね。でも、声質と雰囲気が合っているので、ベノワ・ディヴィッドの歌声をもってしても、このアルバムの音世界は紛れもなく「イエスの音世界」です。

キー・ボードがジェフ・ダウンズなので、さすがに「およよ」と思う部分も無いことは無いのですが、気になるほどでは無いです。恐らく、ハウとスクワイアのバック・ボーカルが「イエス」なんで、キーボードのダウンズならでは手癖が気にならないのでしょう。

しかし、素晴らしいですね。1969年にデビューしたプログレ・バンド「イエス」。この『Fly From Here』がリリースされた2011年、まだまだ「イエス」は進化している。ジョン・アンダーソンとクリス・スクワイアあっての「イエス」なんだが、ジョン・アンダーソン抜きでも成立する「柔軟性のある進化」を聴いたような気がする。

ポップにドラマティックに仕上がったこの『Fly From Here』を聴くにつけ、プロデューサーのトレーバー・ホーンの腕前は流石やなあ、と思いっきり感心したりする。往年のイエス者の方々にも、最近の若きプログレ者の方々にも、十分にアピールし、十分に聴き応えを与えてくれる、久々のプログレの佳作です。まだまだ「イエス」は眠らない。
 
 

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ハイレゾの『海洋地形学の物語』

ハイレゾ・オーディオ。ハイレゾ・オーディオとは、音楽用CDを超える音質の音楽データの総称。「ハイレゾ音源」と呼ばれることもある。バーチャル音楽喫茶『松和』では、今年の初めからチャレンジしてきた。

やはり、音を聴いた時の感覚がCDとは全く違う。それはまあ、ハイレゾ音源の情報力は音楽CDの情報量の約3倍~6.5倍にもなるので、音の密度、情報量が圧倒的に違う。言葉で簡単に表すと、スタジオ録音時の原曲に近い高音質で、CDではスペック上、再生出来ない音域となる空気感・臨場感の部分まで感じること出来るのだ。

そんな「ハイレゾ音源」で、1970年代のロックの名盤を聴き直しているのだが、これがまた存外に楽しい。1970年代当時、ハイスペックなオーディオ装置で聴かせてもらった情報量の多い、空気感・臨場感を感じられる音に近く、高音質という部分では、上質なデジタル録音的な質の高さ。現在、所有するまずまずのオーディオ装置でも、相当のレベルの音がでるので、とにかく楽しい。

そんな1970年代のロックのハイレゾ音源で、本当に久し振りに聴き直したアルバムが、Yes『Tales from Topographic Oceans』(写真左)。邦題は『海洋地形学の物語』。1973年リリースのプログレッシブ・ロック・バンドのイエスの6作目にして初の2枚組アルバム。

イエスというプログレ・バンドは、そのソング・ライティングと演奏能力の高さをバックに、聴く側の要請に誠実に応える、オーケストラルで長時間に渡る壮大な展開を基にした、聴き易く判り易いプログレ曲を演奏するバンドなんだが、この『海洋地形学の物語』だけは難物である。

聴けば判るのだが、もともと長時間に渡る壮大なプログレ曲は、クラシックの交響曲や交響詩の曲の展開を踏襲した、演奏として「起承転結」を明確にした構築力のある演奏が多い。イエスというバンドは、そんなプログレ曲的な演奏が大得意なバンドなんだが、この『海洋地形学の物語』だけは例外なのだ。
 

Yes_tales_from_topographic_oceans_1  

 
一言で言えば「音のコラージュ」。イエスが来日公演で東京に滞在していた時、リーダー兼ボーカリストのジョン・アンダーソンが、ホテルの自室で読んだヒンドゥー教の経典からヒントを得て、ツアー中にスティーヴ・ハウとの共同作業で構想をまとめたもの。

曲の編集段階では、ほとんどジョン・アンダーソンの一人舞台だったらしく、メンバーそれぞれも、どの演奏パートがどの曲のどの部分に使われたのか、良く判らなかったそうだ。それが不満となって、ドラムのビル・ブルーフォード、キーボードのリック・ウェイクマンが脱退した曰く付くのアルバムとなった。

1曲1曲が相当に長く、内容的には非常に難解。演奏をパーツ化して切り貼りしているので、演奏として「起承転結」を明確にした構築力は薄れ、逆に幻想感と抽象性が強くなり、歌詞や曲想は難解。キャッチャーで印象的なフレーズもあるにはあるのだが、長続きせず、アブストラクトな展開に突如切り替わったりする。とまあ、手っ取り早く言えば「失敗作」であろう。

しかし、この難解な長編アルバムを「ハイレゾ音源」で聴くと、音のコラージュの部分の解像度が上がり、様々な音が重ねられている部分の分解能が上がり、音のエッジが円やかになって聴き易さが上がって、なんとか最後まで聴き通せるレベルにまでになった。「ハイレゾ音源」のお陰で、僕にとっては、この『海洋地形学の物語』が鑑賞に耐えるレベルにまでなった訳である。

ハイレゾ・オーディオは、今まで聴いてきたアルバムの印象がガラッと変わる可能性を秘めている。それほどまでに、ハイレゾ音源の情報量は圧倒的である。今回、このイエスの『海洋地形学の物語』を聴いて、その意義を再確認した次第。
 
 

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2021年6月10日 (木)

イエスの原点となるアルバム

邦題で単純に「サード・アルバム」と呼ばれている『The Yes Album』(写真左)。1971年3月のリリース。タイトルから類推される通り、このアルバムが、今に至るイエスの原点となるアルバムということになる。デビュー以来、以降、お家芸となるメンバー・チェンジを初めて経験している。

以降のイエス・サウンドの要を成すギタリスト、スティーヴ・ハウがこのアルバムから加入。オリジナル・メンバーであり、ギタリストであったピーター・バンクスに変わるハウのギターはブルースの要素は希薄、代わりにクラシックの要素やジャズの要素をふんだんに含んでおり、それが、イエスの演奏の幅を大きく広げ、イエスの音の個性を決定付けた。

そして前作『時間と言葉』でエンジニアとして参加したエディ・オフォードが共同プロデューサーとなり、彼のプロデュースとスタジオ・ワークのお陰で、曲のニュアンスや印象に幅が出来て、ダイナミックで壮大な長尺の演奏が可能になった。確かに、ファースト・セカンド、2枚のアルバムと比べると、その違いは歴然としている。

このイエスの第3作となるこのアルバムは、以降のイエスの音世界の「個性・構成・展開」の基礎を決定付けたアルバムである。
 

The_yes_album
 

それが証拠に、このアルバム以降、ライブ演奏で定番となるナンバーとなる、「Starship Trooper」「I've Seen All Good People」の組曲物、イエスの個性的な演奏(特に、クリス・スクワイアのベースが凄い)が印象的な「Yours is no Disgrace」「Perpetual Change」など、イエスの古典的名曲・名演が目白押しで、今の耳で聴いても、このアルバムは完成度は高い。

そう言えば、後のイエスの傑作ライヴ盤の中で、この『The Yes Album』からチョイスされている曲が、それぞれハイライトとなっていますよね。私、松和のマスターは密かに、イエスのファン、いわゆる「イエス者」の中で、このアルバムを愛聴しているイエス者は多いのではないか、と思っています。

しかし、良く聴いてみると、コニー・ケイのキーボードが、オルガン中心で一本調子となって演奏の幅が狭く、キーボードがこの時点での大きな課題となっていることが良く判る。この課題は次作、これまたイエスの歴史上、最高の一枚である『Fragile(こわれもの)』で解消されるのである。

しかし、この『The Yes Album』のジャケ・デザインはちょっと「引く」。う〜ん、意味不明な「白い頭像」の周りに無表情なメンバーが並ぶ。この奇妙なジャケのお陰で、高校時代はこの盤を入手することは無かったです。大学時代、パチンコで大勝ちして、金銭的に余裕があった時にようやく手にしました。内容的にはイエスの音世界を代表する内容だけにこのジャケットは惜しいなあ。
 
 
 

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2021年3月 6日 (土)

Yes Songs Side E & Side F

英国のプログレ・バンド、イエスの傑作ライブ『Yes Songs』のLPでいうところの「Side E & Side F」である。

この「Side E & Side F」は、一言で表現すると「大団円」である。イエスのそのテクニック、その構成力、そのドラマチックな展開がふんだんに味わえる。これぞ、イエスの「構築美」ここに極まれり、って感じ。

Side Eの前面を占める「Close to The Edge(邦題 : 危機)」は、単純に「凄い」のひとこと。この難解な長尺物を、オリジナルのスタジオ録音よりも速いスピードで、スタジオ録音の演奏と寸分の狂いもなく、ほとんどノーミスで突っ走る。このライブ演奏は凄い。圧倒的迫力を伴った凄まじいパフォーマンス。

この「危機」は、プログレを代表する名曲である。プログレッシブ・ロックの重要要素のすべてが詰まった名曲、名演である。曲が長く(つまり長尺モノということ)、歌詞は思索的であり(つまりは理屈っぽく)、クラシックやジャズの要素がふんだんに散りばめられており(つまりはアカデミックっぽい)、しかも、変速拍子の嵐(単調でなく、バラエティに富む)。
 
Yes_songs_3  
 
Side Fは、「Yours Is No Disgrace」と「Starship Trooper」を収録。どちらの曲も、オリジナルは『The Yes Album』(サードアルバム)に収録されている。この2曲のライブ演奏は聴いていてとても楽しい。躍動感溢れる、スケールが大きく、奥行きの広い、まさにイエスらしい演奏である。

オリジナルは、テンポがややゆったりとしており、ドラマチックな良い曲ではあるんだが、なんか物足りないなあ、って感じの曲だったが、ライブでは、圧倒的テクニックで「すっ飛ばす」。

しかも、印象的な旋律、リフが満載で、どちらの曲も「やっぱり、こんなに良い曲だったんだ」と納得の演奏。このSide Fの演奏こそ、「大団円」の表現がピッタリ。イエスの真骨頂が味わえる。

前々回の記事から、ずっとイエスの傑作ライブ『Yes Songs』をA面からF面までを振り返ってみました。こうやって振り返ってみると、この『Yes Songs』は、改めて思います、大傑作ですね。イエスの演奏内容は当然のこととして、曲の並び順、長さ、録音の良さ、どれをとっても、これはもう「奇跡的な」ライブ・アルバムです。
 
 
 

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Yes Songs Side C & Side D

英国のプログレバンド、イエスの傑作ライブ『Yes Songs』のLPでいうところの「Side C & Side D」である。プログレならではの長尺物で、心ゆくまで弾きまくっているんだから、メンバーのソロのパートなんて必要ないだろう、と思うんだが、イエスの連中は、やるんですね〜、ソロ・パートを(笑)。

冒頭はギターのスティーブ・ハウ。4枚目のオリジナルアルバム『こわれもの』で披露したソロ・パート「Mood for A Day」を忠実に再現する。つまりは、オリジナルアルバムの演奏って、多重録音じゃあないんだよ、ってことを言いたいってこと。クラシック・ギターの奏法を彷彿とさせる「バカテク」に、思わず「息をのむ」。

続くは、キーボードのリック・ウェイクマン。ソロ・パートのタイトルは「Excerpts from "The Six Wives of Henry VIII"」なんだが、途中、ハレルヤ・コーラスが入ったりして、クラシック・マナーに則った、繊細かつ流麗、ダイナミックなマルチ・キーボードを聴かせる。ウェイクマンの手癖が満載で、このソロ・パート、高校時代から好きです。

当時、プログレのキーボードは、EL&Pのキース・エマーソンと、このイエスのリック・ウェイクマンの二人が代表的プレイヤーで、プログレ・ファンの中でも、エマーソン派とウェイクマン派に分かれていた。エマーソン派の方がメジャーだったんだが、僕は圧倒的にウェイクマン派。
 
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この『Yes Songs』のソロ・パートを繰り返し聴いては「こんな風にマルチ・キーボードで弾いてみたい」と何度思ったことか。このウェイクマンのソロ・パートの終わりのサイレンの様なシンセサイザーの音が、次の曲「Roundabout」の前奏につながる辺りは、いまでもゾクゾクする。

いわゆるD面のラスト「Long Distance Runaround/The Fish」では、クリス・スクワイアのベース・ソロが聴ける。「Long Distance Runaround」から始まって、途中、ソロ・パートの「The Fish」(オリジナルは「こわれもの」に収録)が入って、また、「Long Distance Runaround」に戻るんだが、この後半の「Long Distance Runaround」部の終わりに、再度、クリス・スクワイアのベース・ソロが入る。

この終わりの部分のスクワイアのベース・ソロが壮絶。「これがベース・ソロか?」と疑いたくなる、一聴すると、まずは「ギター・ソロ」と勘違いするほどの「ギター・ライク」なベース・ソロ。エレキ・ベースをブンブンいわせながら、ギターの様なソロ演奏を延々と繰り広げる。とにかく凄い。エレベのジミヘンである。

この『Yes Songs』の「Side C & Side D」は、イエスのメンバー・ソロが堪能できる。それも、ライブの余興としての、顔見せ的なソロ・パートではなく、思わず仰け反ってしまいそうな、それはそれは超絶技巧な凄まじいソロ演奏を披露する。加えて、しっかりと歌心も備えていて聴き応え十分。当時のイエスのメンバーの「演奏力の凄まじさ」を再認識するのだ。
 
 
 
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2021年2月 9日 (火)

Yes Songs Side A & Side B

今を去ること約半世紀前、僕が高校1年生の時、プログレ小僧となって以来、一番聴いたアルバムは、と問われれば、『Yes Songs』を挙げる。LP3枚組の超弩級のアルバムなんだが、46分のHiFiのカセットテープに、LP片面ずつダビングして、カセットテレコで、カセットデッキで、家で、学校で、喫茶店で、よく聴いた。

イエスは、演奏テクニックが素晴らしく、楽曲は、プログレらしい、クラシック組曲風の長尺物が多く、その構築美たるや、芸術的ですらある。EL&Pほどコマーシャルでなく、ピンクフロイドほど叙情的で無く、キング・クリムゾンほど、ジャズっぽく、かつ思索的では無い。メロディアスなフレーズが多く、印象的なリフが満載。ちょっとマニアックな香りがするが、難解では無い。

『Yes Songs』の LPで言うA面 & B面は、聴き応え十分。オープニングは、テープにて、ストラヴィンスキーの組曲「火の鳥」より。これ、今でも、イエスのオープニングを飾っていたりする、由緒あるもの。

そして、その組曲「火の鳥」をリック・ウェイクマンのメロトロンが引き継ぎ、続いて演奏されるのが「Siberian Khatru」。このライブ演奏には「たまげた」。オリジナルは『危機』に収録されているのだが、スタジオ録音より演奏の速度が圧倒的に速く、アドリブ部のバリエーションが豊か。こちらの「Siberian Khatru」のほうが本家本元としたいくらい、目も眩むような圧倒的な演奏で、イエスは疾走する。
 
 
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「Heart of the Sunrise」では、クリス・スクワイアのベースがブンブンブンブン唸りを上げる。これだけブンブンブンブンと重爆撃機のような唸りを上げるベーシストを他に知らない。そして、ギターのスティーブ・ハウは意外とハード。ブリティッシュ・プログレのギタリストはいずれも意外とハードな演奏で飛ばしまくる。

「Perpetual Change」などは、『The Yes Album』に収録されたオリジナルなど比較にならないほど、高度で、複雑で、印象的リフ満載、統制の取れた主旋律と柔軟な展開部。当時のロック・ライブでは冗長なドラムソロも適当な長さで耳障りにならない。バカテク集団イエスの面目躍如たる演奏。

B面ラストの『And You and I』は、イエスの構築美を代表する組曲の1曲。こちらはアドリブを排除し、決められた旋律と展開を、正確無比で圧倒的なテクニックでトレースする。

『Yes Songs』の LPで言うA面 & B面は、当時のエレクトリック・ジャズと相対する、ロックとしてのインプロビゼーションを繰り広げる。このイエスの演奏は、オフビートのノリの基本がロックンロールなので、一聴するとジャズっぽくないが、このオフビートのノリが「ジャジー」なら、当時の最先端のエレクトリック・ジャズと対峙することが出来るほど優れたものだ。

ジャズという切り口から見ても、この『Yes Songs』の演奏は非常に優れたもので、一聴に値する。ブリティッシュ・プログレって、エレクトリック・ジャズやフュージョンとの境目が無い、と思っているが、当時のこのイエスのライブアルバムを聴いてみても、改めてそう思いますね〜。
 
 
 
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  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。
  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。
  • ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログ
    ジャズ喫茶『松和』は、ネットで実現した『仮想喫茶店』。マスターの大好きな「ジャズ」の話題をメインに音楽三昧な日々をどうぞ。このブログがメインブログです。