イーグルス『Desperado』再聴
『イーグルス・ファースト』で最初の成功を収めたイーグルス。アルバム単独でチャートで22位。シングルとしては、「テイク・イット・イージー」(12位)、「ウィッチ・ウーマン」(9位)、「ピースフル・イージー・フィーリング」(22位)の3枚がリリース、それぞれトップ40に入った。
この結果を得て、リーダーのグレン・フライは、バンドとして「アーティスティック」なアルバムを作りたい、と考える。そして、ドゥーリン=ドルトン・ギャングをモデルに、西部開拓時代のならず者をテーマにしたコンセプト・アルバムを制作する。そして、このアルバムがイーグルスの代表作になることを期待した。
Eagles『Desperado』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Glenn Frey (g, vo; key, harmonica), Don Henley (ds, vo, ac-g), Bernie Leadon (guitars, vo, banjo, mandolin, dobro), Randy Meisner (b, vo)。バンド創設メンバー4人が継続。鉄壁の四人組。イーグルスの歴史上、一番充実した時期のメンバーである。
冒頭、いきなりスローテンポでムーディーな「Doolin-Dalton」から始まる。コンセプト・アルバムのモデル「ドゥーリン=ドルトン・ギャング」をテーマにしたバラード曲だが、イーグルスらしい、明るいリズミカルで爽快感のあるアップテンポの曲を期待していただけに、ちょっと肩透かし喰らう感じ。仰々しいロック・バラードで、肩に力が入っとるなあ、と感じる。
2曲目「Twenty-One」から、ベタなカントリー・ロックになって、3曲目の「Out of Control」は、ハードなカントリー・ロックになる。この2曲、あまりにベタなカントリー・ロックと、イーグルスの特徴である「ちょっと中途半端」にハードなカントリー・ロックの連続で、思わず「ムムム」となる。
しかし、4曲目「Tequila Sunrise」でホッとする。この曲は名曲。リリース当時は評価されなかったみたいだが、この曲は名曲。曲想もアレンジもコーラスも、イーグルスの良い個性が全て入っていて、とても良い。ただ、インパクトに欠けるソフトな曲調でシングル向けでは無い。チャート64位に留まった。
5曲目はタイトル曲「Desperado」。後に、リンダ・ロンシュタットやカーペンターズ(邦題「愛は虹の色」)等にカバーされた佳曲。ムーディーなスローバラードではあるが、カントリー・ロックっぽさは皆無。良い曲ではあるが、ロックでは無い。しかし、他のミュージシャンにカヴァーされている佳曲ではある。シングル・カットされていないのは意外だった。
続くB面はイーグルスらしさを取り戻している。ランディがメインの「Certain Kind of Fool」、デヴィッド・ブルーのカヴァー「Outlaw Man」、イーグルスの個性満載、アコースティックで牧歌的な「Saturday Night」、バーニーがメインの「Bitter Creek」。ただ、当初の「西部開拓時代のならず者をテーマにしたコンセプト」から外れている。
かろうじて、「Doolin-Dalton」のインスト・バージョンと「Doolin-Dalton / Desperado」のリプライズを差し込んで、なんとか、コンセプト・アルバムとしての最低限の体裁を繕っている。
どうも、このイーグルスの2枚目のアルバム『Desperado』、コンセプト・アルバムとして、気合を入れて制作したのだが、どうにも中途半端な内容な、「意余って、力足らず」的な内容のコンセプト・アルバムに仕上がってしまった。表裏ジャケの「ドゥーリン=ドルトン・ギャング」に扮したイーグルスのメンバーも、ちょっと「やり過ぎ」感満載。
結局、このコンセプト・アルバム『Desperado』については、レコーディングとプロモーションにはかなりの労力が注がれたが、このアルバムは最初のアルバム『イーグルス・ファースト』ほどには成功せず、全米ビルボード200では41位に留まっている。
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