Timothy B. Schmit

2024年1月 7日 (日)

Timothy B. Schmit『Leap of Faith』

今日などは爽やかな空気の上に、久し振りの快晴の朝。それだけ陽光麗しく、風が爽やかな日となれば「米国西海岸ロック」が聴きたくなる。僕はこの「米国西海岸ロック」の大ファンである。

米国西海岸ロックとは、特に1970年代、米国西海岸、ロスアンゼルス、サンフランシスコを中心に流行ったロックのこと。カントリー&ウエスタンやフォークなど、米国ルーツ・ミュージックをベースに、爽やかなコーラス、高テクニックの演奏が個性のロックである。

代表的なグループ、ミュージシャンとしては、イーグルス、ドゥービー・ブラザース、ジャクソン・ブラウン、J.D.サウザーなどが挙げられる。

1970年代がピークではあったが、今でも米国西海岸ロックは生き残っている。若手によるフォロワーもいるし、1970年代に活躍したバンドのメンバーがソロになって、今でも活動を続けているケースもある。今日は、この後者のケースをご紹介する。イーグルス(Eagles)のベーシスト、ティモシー・B・シュミットの、7年ぶりの新ソロ・アルバムである。
 

Leap_of_faith 

 
Timothy B. Schmit『Leap of Faith』(写真左)。2016年のリリース。昨年のことにはなるが、ロサンゼルスにある自身のスタジオでレコーディングとのことで、あの米国西海岸ロックの雄、イーグルスのベーシストのソロ盤のリリース。何だか嬉しいでは無いか。

冒頭の「My Hat」を聴くと、ああ、このアルバムは間違い無く「米国西海岸ロック」なアルバムなんだなあ、と感じる。良い音だ。切れ味の良いフォーキーなロック・ビート、爽やかなコーラス、伸びと哀愁感のあるスチール・ギターの響き。明らかに西海岸ロックである。

どんどん聴き進めて行くと、カントリー&ウエスタン風だけでは無い、R&B、そして少しのレゲエ風な曲もあって、現代の「米国西海岸ロック」な内容に思わず聴き惚れてしまう。60歳代最後の年に出された音とは思えない。曲にもボーカルにも、渋さと深さが備わったとは言え、衰えは感じられない。

イーグルスの音を、そのまま洗練して「スティーリー・ダン」風に仕立て上げた様な音作りにも感じるし、1970年代、西海岸で活躍したフォーク・ロック・グループ「ポコ」の音を今風にした様でも音作りは実に魅力的である。いや〜、ティモシー・B・シュミット健在ってことが嬉しい。現在の米国西海岸ロックの好盤です。
 
 

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Timothy B. Schmit『Playin It Cool』

1970年代のアメリカン・ロックの一大潮流であった「ウエストコースト・ロック(西海岸ロック)」。カリフォルニアの爽やかな太陽と風を想起させる、カントリー・ロック風の爽やかなノリと、粋な兄ちゃん達の小粋なロック・ソングが特徴的。そして、美しいハーモニーが特徴の「ヴォーカル・ハーモニー」のフィーチャー。

Timothy B. Schmit『Playin It Cool』(写真左)を聴いて、懐かしの米国西海岸ロックに浸っている。このアルバムは、1984年のリリースなので、70年代ロックの範疇からは外れるのだが、その内容は、バッチリ70年代ロック、米国西海岸ロックの範疇に引っ掛かっている。

Timothy B. Schmitは、米国西海岸ロック伝説のバンド「ポコ」を経て、1977年、イーグルスに引き抜かれ参加。ランディー・マイズナーの後任という、ポコへの参加と同じ事情なのは、何か因縁めいたものを感じる。1979年発表のイーグルスの『The Long Run』で、Timothy B. Schmitは、かの名曲「I Can't Tell You Why」を提供している。でも、その後、イーグルスはあえなく一旦解散。

Timothy B. Schmitはソロに転身せざるを得なくなる訳だが、そのTimothy B. Schmitが、1984年に発表した初のソロ・アルバムが、この『Playin It Cool』。アップテンポなポップス調のナンバーからハードなナンバー、そして、スローなバラードまで、マルチ・タレントぶりを発揮していて、Timothy B. Schmitのボーカルも覇気が溢れ、なかなかの内容のアルバムに仕上がっている。
 

Tb_schmit_playin_it_cool_2

 
リズムは完全に1980年代ロック&ポップスで蔓延した、デジタル&打ち込み風で違和感があり、エコーもたっぷりかかっていて、どうもAORの影を追っているようで具合が悪いんだが、それぞれの楽曲の根幹は、70年代米国西海岸ロックにあって、そこを焦点に絞ると、このTimothy B. Schmitの『Playin It Cool』はなかなかに味わいがある。

70年代米国西海岸ロックのテイストを引きずった「80年代AOR的なサウンド」とでも表現したら良いだろうか。しっかりと引きずっている70年代米国西海岸ロックのテイストが魅力的に響く。

「So Much In Love」「Voices」「Take a Good Look Around You」「Tell Me What You Dream」などは、良い感じの楽曲。特に「Take a Good Look Around You」「Tell Me What You Dream」の2曲は、70年代米国西海岸ロックのテイストを引きずった「80年代AOR的なサウンド」という表現にピッタリ。タップリとかかったエコーとデジタル&打ち込み風のリズムは、ちょっと馴染めないのだが・・・(笑)。

イーグルスの再結成の際、ベーシストはランディ・マイズナーでないと、という評価もあったが、「One of These Nights」や「Hotel California」などのハードなギター中心の曲のバックで、根太で粘りのあるベース・ラインに関しては、Timothy B. Schmit のベースの方がシックリくる。イーグルスの全キャリアの楽曲を広く押さえるベースとしては、Timothy B. Schmitのベースも十分「あり」だろう。

僕は、1970年代ど真ん中ではない、1980年代に入ってからのソロ・アルバムに、Timothy B. Schmitの個性を感じる。1970年代の米国西海岸ロックを更に洗練した音楽性と彼の弾くベースは、まだまだ過小評価されているではないだろうか。しかしまあ、レトロなジャケット・デザインであることよ・・・(笑)。 
 
 

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