Premiata Forneria Marconi

2024年8月 3日 (土)

Premiata Forneria Marconi『Chocolate Kings』

プログレッシブ・ロックのアルバムの棚卸しをしていた時、イタリアン・プログレの雄・PFM(Premiata Forneria Marconiの略称)のアルバムに出くわした。今を去ること35年ほど前、高校時代にずいぶんお世話になったプログレバンドのPFM。そのPFMのアルバムの中に久しく顔を見ていないアルバムがあった。

Premiata Forneria Marconi『Chocolate Kings』(写真)。1975年の作品。ちなみにパーソネルは、Bernardo Lanzetti (vo), Franco Mussida (g, voice), Flavio Premoli (key, vo), Mauro Pagani (fl, vln, vo), Patrick Djivas (b, vo), Franz Di Cioccio (ds, vo)。

ライヴ盤『Cook - Live In USA』やコンピレーション盤『Award-Winning Marconi Bakery』等を経て、オリジナルのスタジオ・アルバムとして6作目となる僕にとって、この『Chocolate Kings』は、あまり印象の良く無いアルバムになる。まあ、今となっては懐かしい思い出なんだけどね。

このアルバムが発売された頃は、僕はいっぱしの「プログレ小僧」となっていて、このPFMの新作を期待して待っていた。そして、FMの番組でオンエアされるのを、珍しくステレオの前に座って、ジッと聴き耳を立てていたのを覚えている。が、聴き終えて、ガッカリした。今から振り返れば、懐かしい思い出である。

この新作に向けて、英語によるヴォーカルを強化する為に、ACQUA FRAGILE のベルナルド・ランゼッティを新メンバーに迎えた。これが失敗の元だろう。声の質が如何にもロックな感じで繊細さの微塵もない。ただ大声を出して、平坦に歌っている感じで、すごく平凡な感じがする。
 

Chocolate_kings

 
力技的な演奏力を前面に出した豪快なイメージのアルバムであり、今までの「売り」だった、クラシカルで、繊細かつ幽玄な世界は全く消え失せていた。

どうして、こんなイメージ・チェンジを図ったのだろう。米国進出を焦ったのか。でも、このアルバムは「痛烈に米国を皮肉った」アルバムなんだよな。この歌詞の内容で、米国で売れるはずがない。

この『Chocolate Kings』は、PFMの本来の良さが失われたアルバムではある。1975年、今から思えば、この時期がプログレ衰退の始まった年だった。そして、PFMも自らの良さを捨て去って、凡庸なバンドへと衰退した。この『Chocolate Kings』を聴いて、失望して以来、PFMは聴かなくなった。そんな象徴的なアルバムである。

でも、PFMは、僕に英国や米国以外の国にも優れたロック・バンドがいて、それらのバンドは、当然、自分たちの国の過去からの音楽遺産を踏襲して、それぞれが独自の音世界を形成している、ということを教えてくれた。

今聴いても、デビュー当時から1975年までのPFMには素晴らしいものがある。こんなバンドを、多感な高校時代、リアルタイムに体験できたことは幸せなことだったと思っている。
 
 
Matsuwa_billboard 

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2024年8月 2日 (金)

Premiata Forneria Marconi『Photos of Ghosts』

イタリアン・プログレの雄といえば「PFM」。「PFM」は「Premiata Forneria Marconi」 の略称。カタカナ表記で書くと、プレミアタ・フォルネリア・マルコーニ。イタリアが世界に誇るプログレッシヴ・ロック・グループである。イタリアン・ロックの最高峰であり、プログレッシヴ・ロックの至宝。

「プレミアタ・フォルネリア・マルコーニ」の意味するところは、EL&Pの様に、プレミアタさんとフォルネリアさんとマルコーニさん、3人の姓を取って名付けたものでは無い。このバンド名を初めて聞いた時はてっきりそう思った。

しかし、メンバーがインタビューで答えるには「選ばれたマルコーニという名のパン屋さん」の意味だそうだ(笑)。北イタリアのブレッシアには、マルコーニという、パン屋のチェーン店があったらしい。なぜ、彼らが、パン屋さんの名前をバンド名にしたかは不明。(あまりに長いバンド名なので、以降、PFMと略します)

Premiata Forneria Marconi『Photos of Ghosts』(写真)。 邦題「幻の映像」。ちなみにパーソネルは、Franco Mussida (g, theorbo, mandocello,vo), Flavio Premoli (key, tubular bells, vo), Mauro Pagani (fl, piccolo, vln, vo), Giorgio Piazza (b, vo), Franz Di Cioccio (ds, perc, vo), Peter Sinfield (english lyrics, producer)。

そんなPFMのアルバムの中で、僕が初めて手にして聴いたスタジオ録音盤が、英語盤として1973年に発表された第3作目のスタジオ録音盤。
 

Photos_of_ghosts

 
このアルバムは、ピート・シンフィールドが英詩を担当し、EL&Pが主催するマンティコア・レーベルからリリースされた。 イタリアン・プログレッシブ・ロックの優れた音楽性をアピールするとともに、欧州プログレの世界進出の先駆けとなった作品。 その優れた内容はプログレ好きの国々で絶賛された。

ダイナミックで骨太、体力勝負的なライブアルバム『Cook - Live In USA』を聴いた後、このアルバムを購入したので、このアルバムの持つ、繊細かつ幽玄な世界がなんとなく「かったるしく」て、物足りない気分を味わったのを覚えている。

当時はまだ若かったんですね。楽しみにしていた2曲目の「Celebration」など、ライブ盤に比べると、テンポも遅くて温和しめの演奏でガッカリ(笑)。

今の耳で聴くと、この繊細かつ幽玄な世界は素晴らしい。当時のプログレというロックのフォーマットの中で、これだけ繊細な音世界を表現出来るって凄い。当時のイタリアン・プログレの実力を感じます。今では、再生装置の性能も上がって、この幽玄な世界がとても心地良く響きます。

何と言っても冒頭1曲目「River Of Life」のスケールの大きな演奏は感動もの。全体を通して、美しい旋律あり、激しい展開あり、スケールが大きく、かつ繊細な面も持ち合わせ、緩急自在の演奏力を駆使した素晴らしいアルバムだと思います。
  
 
Matsuwa_billboard 

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2024年8月 1日 (木)

Premiata Forneria Marconi『Cook』

プログレッシブ・ロックとは、1960年代後半のイギリスに現れたロックのジャンル・スタイルの一つ。日本における一般的な略称は「プログレ」。

「プログレ」は、ロックのみならず、他ジャンルの影響を反映した、前衛的あるいは先進的(つまり、プログレッシブ)、かつ、実験的な音楽。クラシックやジャズや民族音楽など、その音楽のアプローチや演奏法にとどまらず、歌詞など精神的な世界までも取り込もうとしていた。

しかし軸足はあくまでロックの側にあり、「プログレッシブ」という形容は、「ロックのジャンル音楽として」先進的(プログレッシブ)であるという認識が正しい。演奏表現に関する精神性や技術力が著しく高く、アルバム全体を一つの作品とする「コンセプト・アルバム」的な作品がほとんどで、大作・長尺主義傾向にある長時間の曲が特徴(Wikipediaより引用)。

イタリアでは、何故かは判らないが、1970年代、プログレッシブ・ロックが流行った。流行ったというか、プログレのジャンルの中では、有力なバンドがイタリアに揃っていた。つまり、イタリアは「プログレ」先進国であった。そんなイタリア・プログレのバンドの中に「Premiata Forneria Marconi」というバンドがある。

Premiata Forneria Marconi(略称「PFM」)。カタカナ表記で書くと、プレミアタ・フォルネリア・マルコーニ。イタリアが世界に誇るプログレッシヴ・ロック・グループである。イタリアン・ロックの最高峰であり、プログレッシヴ・ロックの至宝。
 

Pfm_cook

 
「プレミアタ・フォルネリア・マルコーニ」の意味するところは、プレミアタさんとフォルネリアさんとマルコーニさん、3人の姓を取って名付けたものでは無い(笑)。「選ばれたマルコーニという名のパン屋さん」という意味だそうだ。北イタリアのブレッシアには、マルコーニという、パン屋のチェーン店があったらしい。なぜ、彼らが、パン屋さんの名前をバンド名にしたかは不明。

Premiata Forneria Marconi『Cook』(写真)。1975年のリリース。ちなみにパーソネルは、Franco Mussida (g, vo), Mauro Pagani (fl, vln, vo), Flavio Premoli (org, p, Mellotron, Moog, vo), Jan Patrick Djivas (b), Franz Di Cioccio (ds, vo)。僕が、PFMのアルバムの中で、今まで一番聴いた回数が多いアルバム。

PFMの初のライブ・アルバムで、PFMのハードな面が良く出ていて、ロマン溢れる抒情的な部分との対比が素晴らしい、僕の大のお気に入り。恐らく、既出の正式盤の中では出色の出来。

で、このPFMの『Cook』は、1975年のリリース。当然、当時はLP1枚でのリリース。全編約50分の目眩くプログレッシブ・ロックの世界ではあるが、当然、元々のライブ音源から編集されていて、ちょっと聴き足りないもどかしさが付きまとう。

そんな不満を解消する「完全盤」がある。この1975年に出したライヴ盤『Cook』に、元音源が本編と一部ダブるとはいえ、2010年リミックスの74年録音のライヴを丸々加えた3枚組がリリースされている。目玉は、Disc2とDisc3に収録された、1974年8月31日のセントラルパーク公演の9曲(87分)。音源としては、オリジナルのライヴ盤『Cook』と被るのもあるようですが「気にしない」(笑)。
 
 
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