Eric Clapton

2024年8月 6日 (火)

Eric Clapton『There's One in Every Crowd』

「なぜか夏になると聴くロック」である。暑い夏には、高校時代から、暑苦しい「ハード・ロック」や「プログレ」はどうも聴く気にならない。高校2年の夏だったか、映研の部室で「暑い暑い」と言いながら、「暑い夏にピッタリのロックは無いんか〜」と騒いでいたら、「それやったら、レイド・バックやろ」と言われて、「???、レイド・バック?」。

レイドバック(laid-back)というのは「くつろいだ、のんびりとした、ゆったりした」という意味である。ロックの用語として良く使われるが、その場合、主にリズムの感覚を表す。具体的な例を挙げると、レゲエのリズムや、サザン・ロックのバラードなどの「ゆったりとくつろいだ感じ」が「レイド・バック」である。

Eric Clapton『There's One in Every Crowd』(写真)。1975年の作品。邦題「安息の地を求めて」。さて、「ん〜っ、レイド・バックってなんやねん」と訊いたら、「そうやねえ、これもレイド・バックや。聴けば判る」、と聴かされたアルバム。

クラプトンの、ギンギンとブルース・ギターを弾きまくる「ギターの神様」のイメージからすると、拍子抜けしてしまう、クラプトンの歴史の中では、ちょっと異質な、真に「レイド・バック(くつろいだ、のんびりとした、ゆったりした)」したアルバム。
 

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ですが、幸いにも、当時、僕は、クラプトンと言えば、前作『461 Ocean Boulevard』しか知らなかった(笑)。でも、このアルバムは、クラプトンの数あるアルバムの中でも、いわゆる商業的な成功は収めてないが、ファンに人気が高い「隠れ名盤」。

冒頭の「We've Been Told(Jesus Is Coming Soon)」。アコギの音が素晴らしく、心地良い。2曲目は、レゲエ・ソング「Swing Low Sweet Chariot」。枯れた調子のクラプトンのヴォーカルもさることながら、バック・コーラスのマーシーとイヴォンヌもリラックスして、良い調子で歌い上げているのが印象的。この曲、今でも大好きな曲です。

5曲目の「The Sky Is Crying」は、レゲエ調の曲が多いこのアルバムの中で、際だったブルース・ナンバー。ライヴでも良く演奏される佳曲ですね。ラストの「Opposites」などは、リラックスの極みである。

このクラプトンの歴史の中では、ちょっと異質なアルバムですが、ブルーズ・レゲエ・ゴスペル系の曲を中心に、「軽快なジャマイカのリズム」、「テンションは高いがリラックスしたアコギの音」、「ここ一発のクラプトンのエレキの職人技」。心地良い「ロックな安らぎ」を感じる、夏にピッタリのアルバムの一つです。
 
 
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2024年8月 5日 (月)

Derek and The Dominos・Inside Story

このところ、音楽関係の書籍で、面白そうな本の発売が相次いでいる。本については、子供の時、欲しい本(漫画本以外)を見つけたらお小遣いに関係なく、買い与えてくれたので、本は相当読んだ。この習慣を社会人になっても継続していて、欲しい本があったら、金に糸目をつけず、買うことにしている。

最近は、Webで検索して在庫の有無を調べて購入できるようになったので助かるが、本っていうもの、読みたい本を見つけたときに買っておかないと、お小遣いが貯まったら買おう、なんて悠長なことを言っていたら、お小遣いが貯まった頃には、店頭から姿を消していて、他の書店を探しても無い、ということが良くある。そういう経験もあって、今でも読みたい本があれば、よっぽど高価な本でない限り、即ゲットである。

今回購入したのは『名盤の裏側:デレク&ザ・ドミノス・インサイド・ストーリー』(写真左)。シンコーミュージック・エンタテイメントからの出版である。この表紙のアルバム・ジャケットの写真を見ればすぐ判る。デレク&ザ・ドミノスの永遠の名盤「いとしのレイラ」のレコーディングについての「実話&裏話」集である。そういえば、昨年11月に洋書で発売されて話題となっていたのを思い出して、即ゲット。
 

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読んでみると、なかなか面白い。エリック・クラプトン(Eric Clapton)のバイオグラフィーから、ジョージ・ハリスンの妻だったパティ・ボイドとクラプトンの有名な不倫劇に関する話題、そして、メインのデレク&ドミノスとしてレコーディングに臨んだ「いとしのレイラ」セッションの模様、故デュアン・オールマンなどアルバムで重要な役割を果たした参加メンバーの逸話、関係者へのインタヴュー、などなど、なかなか興味深い記事の数々は、読んでいてなかなかに面白い。

特に、デレク&ドミノスの「いとしのレイラ」にまつわる伝説や逸話、レコーディングの概要、背景など、この「いとしのレイラ」というアルバムを長年聴き込んできたマニアにとっては、今までさまざまなルートから得た「いとしのレイラ」に関する情報を整理し、確認する、という「振り返り」にピッタリの本である。

この本を読み進めながら、「いとしのレイラ」を聴き進めると、今までと違った角度でのリスニングが出来て、この永遠の名盤に更なる深みを添えること間違い無し。読み進めるうちに、「え〜っ、そうだったのか」とか「え〜っ、これ、デュアンが弾いていたのとちゃうんか〜」とか「このフレーズ、クラプトンが作ったんとちゃうんか〜」とか、時々、新しい発見があったりして楽しいです。
 
 
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2024年8月 4日 (日)

Derek and The Dominos『In Concert』

昔から、手に入れたいな、と思っていても、なかなか踏ん切りがつかずに、この歳まで、買えずにいたアルバムが結構ある。特に70年代ロックのアルバムに、これが多い。

高校時代〜大学時代は資金力が無いので、購入するアルバムは厳選しなければならぬ。スカ盤を掴まされたら、最低1ヶ月は後悔するからね。出来るだけ沢山の雑誌の評論を読み漁って、正確な情報を掴んで、なけなしの資金を持って、レコード屋へ通ったもんだ。

Derek and The Dominos『In Concert』(写真)。1970年10月23 & 24日のライヴ録音。1973年1月のリリース。ちなみにパーソネルは、Eric Clapton (el-g, vo), Carl Radle (b), Bobby Whitlock (p, Hammond, vo), Jim Gordon (ds, perc)。エリック・クラプトンが所属したグループ、デレク・アンド・ザ・ドミノスの唯一のライヴ盤。

そんな「昔から、手に入れたいな、と思っていても、なかなか踏ん切りがつかずに、この歳まで、買えずにいたアルバム」の1枚。エリック・クラプトン主宰のデレク&ドミノスの「イン・コンサート」(LP時代はこのタイトル)である。現在の最新のCDでは「ライヴ・アット・ザ・フィルモア」というタイトルで出ている。「イン・コンサート」から追加した5曲を収録、デジタル・リマスター2CDである。

デレク&ドミノスといえば、あの「レイラ」を作った、エリック・クラプトン主宰の伝説のバンドである。では、高校時代から今まで何故に手に入れるのを躊躇したのか。

まずは、あの名曲「レイラ」が入っていない。次に、LP時代から2枚組で単純に「値段が高い」。「レイラ」に比べてジャケット・デザインが平凡(上記写真左を参照)。いろいろな評論家の評価を読むと、一様に「イマイチ的な評価」。
 

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以上が原因で、高校時代から、レコード屋で一度は意を決して手に取るのだが、最終的に棚に戻してしまう、気の毒なアルバムである。であるからして、LPと同じ内容でCD化された時も、やっぱり、一度は意を決して手には取るのだが、最終的には棚に戻してしまうのであった。

しかし、1994年にリイシューされた2CDの『Live at the Fillmore』が優れもの。「イン・コンサート」から5曲を追加収録、加えて、デジタル・リマスター仕様。

で、その内容は、というと、これがなかなかなのである。確かに、最初の2〜3曲はちょっと平凡な演奏が続くが、Disc1の5曲目「Have You Ever Loved A Woman」あたりから俄然、クラプトンが弾きまくり始める。

Disc2になったら、もうノリノリのバリバリの弾きまくりである。全体的に、クラプトンが弾きまくっていて、彼自身がこの時代が最も指が動いていたと言うように、素晴らしいギター演奏を聴くことができる。いい音出してます。しかし、当時の評論家の「イマイチの評価」ってどこから出て来たんだ。

でも、日本盤が発売された当時は、やっぱり買わなかった。「イマイチの評価」のアルバムにしては高額のだ。今回は、ネット・ショップにて、米国盤にて割安で、しかも割引が効くという特典があって、やっとのことで手に入れた。初めて「買おうかな」と思ったのが1975年だから、31年経って、やっと手に入れたことになる。

LP時代の「イン・コンサート」は曲数が少なく、やっぱり無理して買わなくてもよかったかな、と思うけど、この5曲追加のCD2枚組の「「ライヴ・アット・ザ・フィルモア」は、買って良かったと思う。日本語解説は必要ない、という方は、是非とも米国盤をどうぞ。割安感ありますよ(笑)。
 
 
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