『AirPlay』(ロマンチック) 1980
このところ、週末は「ジャズの合間の耳休め」的なアルバムについて語っている。我がバーチャル音楽喫茶『松和』は、ジャズが中心ではあるが、1970年代ロック、1970年代Jポップも守備範囲としている。
ジャズばっかり聴いていると、ふと耳休めをしたくなる時がある。そんな時、ジャズとジャズの合間に、違和感無く聴けるジャンルの一つが「AOR」。「AOR」とは、ここでは、Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)の略語。日本特有の音楽ジャンル言葉で「大人向けのロック」と独自解釈された。クロスオーバー的なサウンドと大人向けの落ち着いたヴォーカルが特徴である。
このAORの流行時期に僕達は学生時代を過ごした訳で、思いっきりリアルタイムにAORを体験している。FMつけてAOR、お洒落な喫茶店に入ってAOR、時には街のスーパーマーケットに入ってAORだった。それほど、1970年代後半から1980年代前半については、AORが流行に流行った。
そんなAORの好盤の中から、今日のチョイスは、AirPlay『AirPlay(邦題:ロマンチック)』(写真)。1980年の作品。AORをリアルタイムに体験した僕達にとっては、まさにこのアルバムのサウンドこそが「AOR」。また、その音の雰囲気は『米国西海岸ロック系』。爽快なコーラスと疾走感溢れるフレーズが思いっきり「AOR」しています。
AirPlayは、David Foster と Jay Graydon という、プロデューサー、プレイヤーとして、そのポジションを確立した二人を中心に、ヴォーカルには Tommy Funderburk、バックに TOTO の Jeff Porcaro (ds), David Hungate (b), Steve Lukather (g) Ray Parker, Jr. (g) や Mike Baird (ds) などを配したスーパー・プロジェクトでした。
まあ、このメンバー面々の名前を見渡すと、そこから出てくる音は、おおよそ想像できるというもの。明るく爽やか、爽快感溢れる、それでいて余裕のある、大人の「米国西海岸ロック」。特に、ハイトーンなコーラスが絶妙。このハイトーン・コーラスを聴けば、明らかにこのバンドは「米国西海岸ロック系」でしょう。
まるで打ち込みのような正確無比なリズム&ビートも魅力。このAirplayのリズム&ビートにはファンクネスは皆無。ジャジーな雰囲気も皆無。クロスオーバー的なサウンドが特徴ですが、重心は明らかに「ロック」寄り。それでも、演奏全体の雰囲気は、ハイ・テクニックでありながら余裕のある演奏で、そういう面から、このアルバムの音はジャズとジャズの合間に、違和感無く聴ける音だと思います。
もともと日本でしかウケなかったアルバムで、米国ではほとんど記憶に残っていないのでは無いでしょうか。Amazonを覗いてみても、輸入盤の取り扱いがないみたいです。それでも、このアルバムの優れた内容を見抜いて、このアルバムを評価した当時の日本人のAOR者の耳の確かさに改めて敬意を表したいと思います。
東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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