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Sahib Shihab『Sentiments』

ジャズのアルバムには「定盤」と呼ばれるものが多々ある。ジャズ入門書を賑わし、レコード会社のジャズ・アルバム再発キャンペーンを賑わす、教科書的な、真のジャズ者になる為に、試行錯誤しながらも、聴かなければならないアルバム達。

もしも、リアルなジャズ喫茶をやるなら、どうもこの「定盤」アルバムは、流すのが憚られる。リクエストされたら仕方が無い。でも、「定盤」アルバムは、誰もが知っている、誰もが推薦するアルバムである。なにも、ジャズ喫茶のマスターが「これどうぞ」と薦めるアルバムでは無いだろう。

やっぱり、ちょっと捻りを効かせた、聴いているジャズ者の方々が、「これ、何て言うアルバム」って、ジャケットを見に来るような、そんなアルバムを、ジャズ喫茶では流したい。ジャズ者の皆さんが、買うのに躊躇う、手に入れるのに悩む、でも、実のところ、ジャズとしてなかなかの内容のアルバム。そんなアルバムを、ジャズ喫茶で流したい。

最近、入手したアルバムの中で、例えば、SAHIB SHIHAB(サヒブ・シハブ)の再発ものである『Sentiments』(写真左)なんて、そんなアルバムの一つ。1965年、1971年録音。録音年を見ても判る通り、寄せ集め的なアルバム。

1971年3月コペンハーゲン録音の秀作『Sentiments』の全曲を収録し、更にボーナス・トラックとして、1965年8月&12月コペンハーゲン録音のアルバム『Sahib Shihab And The Danish Radio Jazz Group』からのピックアップ6曲(なぜが2曲省略)を加えた、24-bitリマスターのCD化版。しかし、こんな変則的な収録しなくても良いのになあ。
 

Sahib_shihab_sentiments_6

 
でも、その内容は、実に面白い。バリトン、フルート、アルト、ソプラノ、等を自在に吹きこなすマルチ・リードのテクニシャンであるサヒブ・シハブ。

『Sentiments』の収録曲の部分は、1965年の録音。当時流行だったフリー・ジャズとモード・ジャズの雰囲気を所々に漂わせながら、アブストラクトな演奏と伝統的なハード・バップな演奏がミックスされた、とてもユニークな演奏の数々。

そもそも、サヒブ・シハブがマルチ・リード奏者だけあって、冒頭の2〜3曲を聴いただけでは誰だか判らない。でも、バリトン・サックスの音色が出てきた瞬間に、サヒブ・シハブか? とあたりを付けることは出来る。

ベースの音が、やけにブンブン魅力的に響くなあ、と思っていたら、全編に渡って、NIELS-HENNING ORSTED PEDERSENだったり、ちょっと優雅な黒いピアノの音色はKENNY DREWだったり、他の楽器、トランペットやドラムは、なかなかの演奏で、誰だろう誰だろうと思いながら聴いていて、パーソネルを確認して、全く知らないミュージシャンだったりして、とにかく、聴いていて面白い。

ダークで、ちょっとポップで、聴きやすい展開ながら、ところどころアブストラクトな側面を覗かせる、実に個性的なサヒブ・シハブのソプラノ・サックスとバリトン・サックスは、聴き所満載。フルートも水準以上の出来。

サヒブ・シハブと言われると、名前は聞いたことはあるけど、どんなアルバムを入手して良いのかも判らず、名前だけ聞いてスルーしがちな「サヒブ・シハブ」。この『SENTIMENTS』は、彼のマルチ・リードの特徴が良く出ていて「買い」のアルバムだと思います。2008年8月5日のブログ(左をクリック)でご紹介した『Seeds』もなかなか楽しめる、サヒブ・シハブのアルバムです。
 
 
 
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