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Bobby Timmons『Born To Be Blue!』

ジャズ・ピアニストで、「ファンキー」なジャズ・ピアニストと問われれば、私としては、まず、ホレス・シルバーが浮かび、そして、次にボビー・ティモンズ。

ボビー・ティモンズについては、今年の5月6日のブログ(左をクリック)「ピアノ・トリオの代表的名盤・12」と題して『This Here Is Bobby Timmons』をご紹介した。ボビー・ティモンズのバイオグラフィーについては、この記事をご覧頂きたい。

今回は、そんなファンキー・ピアニスト、ボビー・ティモンズの私の愛聴盤の一枚をご紹介したい。タイトルは『Born To Be Blue!』(写真左)。1963年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Bobby Timmons (p) Ron Carter (b) Connie Kay (ds)。なかなか渋い人選である。

このアルバムは、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースで、コテコテのファンキー・ピアノを弾きまくっていたボビー・ティモンズが、そのファンキーなイメージをグッと押さえて、アーティスティックで大人な雰囲気を全面に押し出した、実に趣味の良いピアノ・トリオ盤です。ティモンズ本人からして、自ら生涯最高傑作と評したピアノ・トリオ盤である。

ファンキーなイメージを押さえることにより、気品に満ちたソウルフルな味わい全面に浮き出てきて、ティモンズのピアノタッチが実に美しく響く。そして、その美しいピアノ・タッチの底にジンワリ漂う、ティモンズの「地」であるファンキーな雰囲気。実に趣味の良い、アーティスティックなファンキー&ソウルフルなピアノと表現すれば良いでしょうか。
 

Born_to_be_blue    

 
若き精鋭ベーシスト、ロン・カーターと、職人的バップドラマー、コニー・ケイとのマッチングが大正解。気品はMJQのメンバーであったコニー・ケイ のドラミングに因るところが大きく、趣味の良さは、モード的な雰囲気を醸しだしながらも、しっかりとバップ的なベースのビートを供給するロン・カーターに 因るところが大きい。

1963年辺りといえば、ジャズは、ポップな面では、ファンキー・ジャズからソウル・ジャズが主流となり、アーティスティックな面ではモード・ジャズが主流となっていた。そして、ボサノバが上陸し、ボサノバ・ジャズが当時の流行の最先端。そんな時代の中で、このティモンズの実に趣味の良い、アーティスティックなファンキー&ソウルフルなピアノは、実にイージーリスニング系であり、実に趣味の良いポップミュージックである。

とにかく、収録されたどの演奏も、ハード・バップな芯のある純ジャズ的な演奏であるが、難しい節回しやジャズ独特の不協和音的なインプロビゼーションは排除され、とにかく、全編、聴き易く、ファンキー&ソウルフルな明るい雰囲気の演奏ばかりで、聴いていてとても楽しく、リラックスして聴き通せる。別の仕事をしながらのBGMに良し、酒を傾けながらの粋なBGMにも良し。

さすがに、ティモンズ本人が、自ら生涯最高傑作と評したピアノ・トリオ盤だけある。もともとジャズは大衆音楽。このアルバムの様な、全編、聴き易く、ファンキー&ソウルフルな明るい雰囲気の演奏がジャズの真骨頂のひとつであることは間違い無い。そして、俗っぽさを徐々に排除しつつ、コテコ テのファンキー・ピアノを趣味の良い、アーティスティックなファンキー&ソウルフルなピアノに昇華させていった、ティモンズの研鑽に敬意を表したい。

最後に、このアルバム、ジャケットが良いです。実に雰囲気のあるジャケット写真。もうもうと立ち上る煙草の煙と深い濃紺を基調にまとめられたジャ ケットは「ジャズ」以外の何者でもない。このジャケットについては、LPサイズのジャケットを手に入れたい。そんな気にさせる実に秀逸なアルバム・ジャ ケットです。  
 
  
 

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