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2020年8月の記事

2020年8月 4日 (火)

太田裕美『Feelin’ Summer』

ニューミュージック時代の太田裕美のオリジナル・アルバムは、僕にとっては「絶品揃い」である。『12ページの詩集』あたりからのオリジナル・アルバムはいずれも愛聴盤である。ニューミュージック系の歌世界と太田裕美のボーカルが絶妙にマッチしていて、僕は大好きだ。

シングルのみの楽曲も大好きだ。「しあわせ未満」「青空の翳り」「南風 - SOUTH WIND -」「恋のハーフムーン」などなど、絶品揃えである。特に、ニューミュージック系からシティ・ポップ系のシングルは、歌詞・作曲・アレンジ含めて、総じて出来が良い。

そんな太田裕美のアルバムの中で、夏のアルバムとして、愛聴しているアルバムがある。1979年6月リリースの10thアルバム『Feelin' Summer』(写真左)。このアルバム、太田裕美のアルバムの中でも、ちょっと異色のアルバムで、ヒット曲をバンドルしていない、全て、オリジナル曲で揃えている。同時期発売のシングル「青空の翳り」「シングルガール」も収録していない。

タイトル通り夏のイメージ満載のアルバムである。収録された楽曲の雰囲気も、歌謡曲な雰囲気が完全に払拭されて、ニューミュージック系からシティ・ポップ系作品で固められており、これが実にマニアの心をくすぐる内容で、「太田裕美とそのスタッフってスゲーなー」と、当時、思いっきり感心しました。

マニア的に語ると、ソロ・デビュー前の浜田金吾の楽曲を積極的に起用、アレンジには、当時、新進気鋭の戸塚修を起用していているところなどが実にニクイ。当時、流行のニューミュージックの先を行く、シティ・ポップの雰囲気を先取りしている内容が実にニクイ。
 
 
Hiromi_ohta_feelin_summer
 
 
同時にボーカルのスタイルも少し変えていて、歌謡曲・アイドル路線の延長線上の「舌足らずの甘ったるい歌声」を押さえつつ、太田裕美本来の、力強くて素直で伸びやかな高音が素敵なボーカルが前面に押し出されています。これには、ビックリしました。でも、このアルバム以降の太田裕美本来のボーカルはとても個性的で良い感じです。

ミディアム・テンポで、眩しい日差しと気怠い昼下がりの日陰感のイメージがしっかりと詰まっていて、夏のシティ・ポップなアルバムとして、かなり上出来な内容です。ただ、同時期発売のシングル「青空の翳り」(写真右)、「シングルガール」など、アルバムの核となる「メリハリの強い曲」が無い分、インパクトにはちょっと乏しいのが玉に瑕。

でも、それが良いんですね。アルバム全体のトーンが整っていて、トータルアルバムとして実に良い雰囲気です。地味そうで、実は聴き込んでいくと意外と聴き甲斐のアルバムで、長年聴き続けることができる「長年に渡るヘビロテ盤」になっています。今の耳で聴くと、70年代後半のシティ・ポップ系の佳作として、とても良い内容に改めて感心します。

ちなみにこのアルバム・ジャケットの裕美さんの写真、すごく可愛い。リリース当時から、僕のお気に入りナンバーワンのジャケットで、これは絶対にLPサイズで持っていたいですね。大学当時、ジャケットを部屋に飾っていたことを思い出しました(笑)。
 
 
 
東日本大震災から9年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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