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2022年3月13日 (日)

四人囃子の『Golden Picnics』

1970年半ば、世界に通用する、しかも「日本人らしい」プログレッシブ・ロックを現出した「一触即発」。確かに、四人囃子のプログレは、英国でもなければ,欧州でもなければ、米国でも無い。出て来るフレーズ、フレーズがどれも「日本人らしい」。そう、日本人の我々が親近感を覚えるフレーズ、展開、節回しが独特の個性だった。

彼らの代表作『一触即発』は、日本に本格的なプログレを現出した、エポックメイキングかつ歴史的なモニュメントであったが、その後、メジャーのCBSソニーに移籍して、1976年にリリースしたアルバムは、和製プログレ・バンドとしての洗練の極み、四人囃子の最高傑作の一枚だろう。

四人囃子『Golden Picnics(ゴールデン・ピクニックス)』(写真)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、岡井大二 (ds, perc, syn, vo), 佐久間正英 (b, syn, perc, vo), 坂下秀実 (keym syn, perc, vo), 森園勝敏 (g, vo, syn, perc)。そして、ゲスト・ミュージシャンが、ジョン山崎 (4・空と海の間 - ac-p, org), 中村哲 (5・泳ぐなネッシー - sax), 浜口茂外也 (1・フライング & 6・レディー・ヴァイオレッタ - fl), トシ (5・泳ぐなネッシー - perc)。

いやいや、本当に凄いんだ、これが。高校3年の時、初めて耳にしたんだが、大ショックを受けた。これが日本人の、20歳そこそこのメンバーが出す音か。ショックを受けた後は、大のお気に入り。聴き込んだ、聴き込んだ。

冒頭の1曲目は、ビートルズの「フライング」。『マジカル・ミステリー・ツアー』の地味なインスト曲であるが、ミディアムテンポの浮遊感溢れる、録音技術を駆使した素晴らしい演奏。何気ないインスト・カバーであるが、その演奏力はかなり高度なものがある。

2曲目は「カーニバルがやってくるぞ(パリ野郎ジャマイカに飛ぶ)」。いかにも日本人らしい、四人囃子らしい名曲。これだけ躍動感溢れるポップなロックは、当時、他に無かった。

私的な話になるが、当時、この曲が僕は大好きで、受験勉強もせずに映画制作とバンド演奏に明け暮れていた、愛すべきバカの集まりだった僕達のテーマソング。「壊れかかった真っ赤な車に乗って、やつらが地獄の果てから舞い戻って来た・・」。このフレーズに、18歳当時から痺れっぱなし。
 

Golden_picnics

 
3曲目の「なすのちゃわんやき」は、ムーグ・シンセサイザーが唸りをたて、ハイテクニックなインストルメンタルの「音の嵐」。なんだか、超絶技巧プログレの雄「イエス」的雰囲気の名演である。とにかく、超絶技巧なテクニックが凄い。演奏のそこかしこに、フュージョン的な雰囲気も見え隠れするところに「時代」を感じる。

4曲目「空と海の間」は、そのタイトルから、ウエスト・コースト風の演奏か、と思った貴方は「通」。その通り、ウエスト・コースト・ロックの雄、ドゥービー・ブラザースばりの格好良さ。

5曲目「泳ぐなネッシー」は、なんと、前半は「これはキング・クリムゾンか」ってな雰囲気で、幻想的でタイトな演奏が素晴らしい。このまま「キンクリ風」で突っ走るかと思いきや、後半は、SEを効果的に使って「これはピンク・フロイドか」ってな雰囲気に展開して、マシンガンが唸り、ジェット戦闘機が飛び回る。

ラストは「レディ・バイオレッタ」。フュージョン・ジャズ真っ青なハイテクで、ソフト&メロウな名曲・名演。天才ギタリスト森園勝敏の面目躍如。印象的なフレーズが満載、展開部の何気なく出てくる出てくる超絶技巧なテクニック。日本におけるフュージョン・バラードの名曲として挙げたい1曲である。

このアルバムで、ギターの森園勝敏は脱退してしまうが、さもありなん。これだけ当時のロックのありったけをごった煮にして、200時間以上の制作時間をかけて・・・・。燃え尽きた感のあったギターの森園勝敏の脱退であった(でも、この後、1989年の再結成ライブでカムバックするんですが・・・)。

四人囃子は、日本ロック史上、燦然と輝く金字塔である。僕は、日本のロックに、及ばずながら、リアルタイムで立ち会って来たリスナーとして、今でもしっかり、誇りに感じている。
 
 

東日本大震災から11年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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