『The Best of The Band』
高校1年生の夏、EL&Pの『展覧会の絵』を体験して、プログレ小僧になった。そして、高校2年の秋からロックの志向が大変化して、スワンプや米国ルーツ・ロックが好きになっていった。そんな中、米国ルーツロックの最高峰「ザ・バンド(The Band)」との出会いって、何時だったのだろう。僕とザ・バンドとの出会いは何時のことだったか、と昔の記憶をたどり始めた。あれは確か、1976年の秋だったと思う。
高校3年生も残り僅か。そんな時期、受験勉強もろくにせず、高校3年生の秋の文化祭に向けて映画を作ってしまったので、ほとんど受験勉強は出来ていない。なんだかとても寂しい秋もとっぷり深まったある日、近くのレコード屋に立ち寄った。ここで「ザ・バンド」のベスト盤と出会う。そして、なぜか、オフコースの当時の新譜『Song Is Love』と一緒に買って帰ったのを覚えている。
ザ・バンドって、雑誌ミュージック・ライフなんかの写真とか紹介記事で名前は知っていたが、どんな音楽を演奏する連中なのか全く知らなかった。なんとなく、米国ルーツ・ロックな音を出すのだろう、というイメージはあった。でも、どんな音がするのか判らんのに、当時、よく2,300円も出して買ったもんだ。まあ、高校3年生の寂しすぎる秋に、茫然自失状態のまま、この「ザ・バンド」のベスト盤を手にしてしまったと思われる。
『The Best of The Band』(写真左・写真右は日本での帯紙付きリリース盤)。1976年7月のリリース。米国ルーツロックの最高峰「ザ・バンド(The Band)」のベスト盤である。それまで、クラプトンやオールマンズを通じて、米国南部、いわゆるサザンロック、スワンプなど、米国ルーツ・ロックな音は知っていた。が、これが聴いてみて「大ショック」たっだ。
当時「これがロックなのか」と唸りに唸ったのを覚えている。そりゃあそうで、後で知ったことなんだが、このザ・バンドって、当時から、ミュージシャンズ・ミュージシャンだったそうで、今でも若手ロック・バンドの連中からも「リスペクトの対象」であり続けているいる、凄いバンドなのだ。
このアルバムの収録曲は以下のとおり、全11曲。当時の最新盤『Northern Lights Southern Cross』までのアルバムの中から選ばれている。いや、6曲目(LPではB面の1曲目)「Twilight(たそがれの流れ者)」だけがアルバム未収録のシングル曲。この選曲についてはベスト・オブ・ベストと言った内容。基本的には、あまりベスト盤は薦めたくないのだが、とにかくこのベスト盤は選曲と曲順が素晴しく、作品的な質も高い。
1. Up On Cripple Creek
2. The Shape I'm In
3. The Weight
4. It Makes No Difference
5. Life Is A Carnival
6. Twilight
7. Don't Do It
8. Tears Of Rage
9. Stage Fright
10. Ophelia
11. The Night They Drove Old Dixie Down
こんなにシンプルで渋くて、落ち着いていてトラディショナルで、それでいて古くなく、演奏テクニックは抜群で歌心があって、スピード感もあり、バラードは情感タップリ。演奏は飾りのないシンプルな音だが、そのテクニックは実に高度。ど派手なハードロックよりも味わいがあって小粋。演奏自体を繰り返し繰り返し楽しめる。
俗に言う「カルチャーショック」である。コペルニクス的転回であった。このベストアルバムを聴いて以来、渋〜いロックに走っていって、ついには、米国ルーツ音楽の要、ジャズにのめり込んでいくのである。
東日本大震災から9年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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