イエスの原点となるアルバム
邦題で単純に「サード・アルバム」と呼ばれている『The Yes Album』(写真左)。1971年3月のリリース。タイトルから類推される通り、このアルバムが、今に至るイエスの原点となるアルバムということになる。デビュー以来、以降、お家芸となるメンバー・チェンジを初めて経験している。
以降のイエス・サウンドの要を成すギタリスト、スティーヴ・ハウがこのアルバムから加入。オリジナル・メンバーであり、ギタリストであったピーター・バンクスに変わるハウのギターはブルースの要素は希薄、代わりにクラシックの要素やジャズの要素をふんだんに含んでおり、それが、イエスの演奏の幅を大きく広げ、イエスの音の個性を決定付けた。
そして前作『時間と言葉』でエンジニアとして参加したエディ・オフォードが共同プロデューサーとなり、彼のプロデュースとスタジオ・ワークのお陰で、曲のニュアンスや印象に幅が出来て、ダイナミックで壮大な長尺の演奏が可能になった。確かに、ファースト・セカンド、2枚のアルバムと比べると、その違いは歴然としている。
このイエスの第3作となるこのアルバムは、以降のイエスの音世界の「個性・構成・展開」の基礎を決定付けたアルバムである。
それが証拠に、このアルバム以降、ライブ演奏で定番となるナンバーとなる、「Starship Trooper」「I've Seen All Good People」の組曲物、イエスの個性的な演奏(特に、クリス・スクワイアのベースが凄い)が印象的な「Yours is no Disgrace」「Perpetual Change」など、イエスの古典的名曲・名演が目白押しで、今の耳で聴いても、このアルバムは完成度は高い。
そう言えば、後のイエスの傑作ライヴ盤の中で、この『The Yes Album』からチョイスされている曲が、それぞれハイライトとなっていますよね。私、松和のマスターは密かに、イエスのファン、いわゆる「イエス者」の中で、このアルバムを愛聴しているイエス者は多いのではないか、と思っています。
しかし、良く聴いてみると、コニー・ケイのキーボードが、オルガン中心で一本調子となって演奏の幅が狭く、キーボードがこの時点での大きな課題となっていることが良く判る。この課題は次作、これまたイエスの歴史上、最高の一枚である『Fragile(こわれもの)』で解消されるのである。
しかし、この『The Yes Album』のジャケ・デザインはちょっと「引く」。う〜ん、意味不明な「白い頭像」の周りに無表情なメンバーが並ぶ。この奇妙なジャケのお陰で、高校時代はこの盤を入手することは無かったです。大学時代、パチンコで大勝ちして、金銭的に余裕があった時にようやく手にしました。内容的にはイエスの音世界を代表する内容だけにこのジャケットは惜しいなあ。
東日本大震災から10年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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